設計工程ではものづくりのための情報を図面上で見える化させます。
図面の情報が正しければ問題は起来ません。しかし、図面に誤りや抜けがあると
不具合が生じます。誤った情報に基づいて加工されたものが出来てしまうと、組立
が出来なかったり、製品の機能が満足しないことになります。
工場監査・工程監査のポイント、新製品立ち上げ手順など、品質管理のポイントを詳しく解説します
図面は、製造現場の造りやすさや、現場のノウハウ・知恵、また材料の特性や加工
技術、それぞれの専門家の知恵など、多くのメンバーが結集し、取り組むことで
品質・コスト・納期を満足させる図面に繋がっています。
設計者の役割は、そのメンバーの知恵をまとめるのが仕事です。そして、その結果
を最終的に図面にまとめて表します。
このように、品質(価格、納期含む)は、設計段階で作り込むものであって、製造
工程で作るものではありません。
よく、品質は工程で作り込め!と言われますが、もっと上流の工程設計、そのまた
上の製品設計段階で作り込むものである、というのが「新製品の立ち上げ品質は
設計で95%決まる!」の意味なのです。
間違ってはいけないのは、「設計者」がすべて設計するのではなく、「設計段階」
で、「材料や製造工程のことを考えた設計を行えるような取り組みがなされな
ければならないということです。
品質問題を未然防止するためには、いわゆるフロントローディング型の開発が実施
されなければならないのです。
さて、理屈はさておいて、実際に設計品質管理をどのように行なっていけば良いで
しょうか?
設計者が、差し当たって心掛けなければならないポイントを3つ挙げてみます。
①設計過程・根拠の見える化
例えば、なぜその部品を選定したのか?あるいはなぜ、その寸法公差を設定した
のかなど、決めた根拠を明らかにし、記録することです。
また製造工程設計では、なぜその工法を採用したのか?なぜ、検査基準をその
値に設定したのかなどです。
これは、予防策を講ずる場合に重要なことであり、見える化することによって
後で検証するとき、レビューするときに検討漏れをなくす効果があります。
特に、新規点・変更点に着目しなぜ新規なのか?なぜ変更したのかを明確にする
事です。
②市場流出の恐れのある潜在不良の見える化
「市場流出の恐れ」といっても、思い付きで考えただけでは出てきませ。
潜在不良を顕在化する方法は、ボトムアップ型とトップダウン型があります。
ボトムアップ型とは、軽量化のため、この材質の部品を採用したら製品に対して
どのような悪影響が出るだろうか?と考えることです。強度などの点で不安が
ある場合は、実験などを行って、不安を解消しなければなりません。
トップダウン型とは、加工に発生した類似の製品の不具合をすべて調査し、
その原因を突き止め、同じ問題が起きないように対策を行います。
流用土が高い製品であれば、ほとんどがトップダウン型を採用して、潜在する
不具合を顕在化します。
また新規度が高い製品は、主に、ボトムアップ型を使って潜在する不良を顕在
化します。
③適時、適任者を含めたコミュニケーション(レビュー)
上記の①、②のプロセスをすべて見える化して、更に問題が積み残されて
いないかどうかを有識者とのコミュニケーションを密にして検証します。
設計者は、製造部門とも積極的にコンタクトしながら不安な点がなくなるまで
つぶし込みを行います。
上記は、設計者にとって大きな負担を強いることになります。
しかし、ここで手を抜くと重大な問題が流出し、企業の存続にも影響を与え
かねません。それだけ、設計プロセスでは、大きな責任を負っているという
事なのです。