コロナ感染拡大により従来のビジネスモデルが崩れ、売上減少や顧客獲得に
苦慮している中小製造業が増加しています。かといって営業力強化のため
営業マンを増員しても、今の状況ではすぐにその効果は表れるとは限り
ません。
1.ホームページによる顧客獲得手段は有効か?
最近は、中小製造業でも、ホームページによる新規顧客を獲得する動きが
加速しています。
A社長の会社は、ホームページを作りや広告費にお金をかけ新規開拓に取り
組んでいますが、問い合わせも少なく新規受注が取れません。今の取引先
だけでは先細りしてしまうので、営業マンを新規採用し、新規顧客開拓に
力を入れていますが、思ったように成果が得られていません。
一方で、B社長の会社では、ホームページやお客さんの紹介で毎月10件
以上の新規顧客の案件を受注しており、売り上げも順調に伸びて、会社の
規模も徐々に大きくなっています。
この2つの会社の違いは、一体何が原因で差を生じさせているのでしょうか?
ホームページ強化によっても受注率は会社によってまちまちです。
それはホームページにとどまらない領域で問題・課題があると考えられ、
広義の意味での営業力(対応力)の差が生じていると考えられます。
2.営業力強化の方策
営業力強化は、属人的な営業スキルではなく、会社全体として売上を伸ばす
ための仕組みをどう作っていくか?というマーケティングの範疇に入ると
考えられます。ホームページのSEO対策や、営業マンの個人的スキルや人脈
だけでなく、会社のしくみとしてどのような体制で顧客獲得に持っていく
のかを考える必要があります。
(1)問い合わせを頂いてからの対応方法
ホームページから新規の問い合わせが入った際の対応方法がしっかり確立され
ている会社もあれば、担当者があいまいだったり、その後のフォローを行って
いなかったりする会社も多いと考えられます。
問い合わせを頂いた後の対応フローの良しあしで、受注率を上げられるかどう
かが異なってくるため、顧客獲得のために何が望ましいかを考えていく必要
があると考えられます。
(2)既存顧客のニーズを正確に掴んでいるか?
そこで、既存顧客に対する対応方法がどうなっているかが、問題となってきます。
支給されてくる図面を受け取ってそのまま作っていると、それがどこで、どの
ように使われているのか?など考える機会が全くありません。
既存のお客様との接点を増やしたり、そこからの取引拡大したりするためには
どうすれば良いかを考え、既存顧客から、取引を拡大していくには、どうしたら
良いかを考えます。
「図面通り忠実に作り上げる」だけでは、下請け企業体質から脱することが
出来ません。
(3)取引拡大のために!!
受注の幅を広げるためには、お客様が何に困っているか?ニーズを把握すること
このことが、既存顧客に対する接し方であり、一緒に課題を解決していく姿勢
こそ、顧客の信頼が得られ、受注拡大につながっていきます。
また自社でできない加工や組み立てなどに対応するため、協力工場をどうやって
増やしていくのか?自社の必要とする協力工場をどのように選定し、どのよう
に増やせばよいかを考えなければなりません。
(4)トラブル時の対応方法
トラブル時の対応は、協力工場も含め自社でやらなければいけなりません。
どうすれば、良い関係性を作ってうまく回すことができるか、協力工場を利用
する際の品質管理、トラブル対応について、スピーディーに処理し、お客様に
安心感を与えることが重要です。
どこまで、お客様のニーズを理解し、その依頼の背景にまで踏み込んでいける
かがトラブルを未然に防止するためには重要だと考えています。お客様のヒア
リングから、図面に現れないニーズをキャッチし、工場の下流工程に対して
いかに情報を的確に伝えていくかに重点を置かなければならないのです。
このように、いくらお金をかけてホームページを制作しても、問合せ後の対応
方法、的確なニーズの把握が受注につなげるための条件であり、結局、その企業
の総合力、技術力が武器となっていることを理解する必要があります。