海外外注での生産を行う場合、不良品を日本へ入れさせない事が大前提と
なります。それは不良であっても外注企業に戻すことが難しいからです。
そこで管理が手薄になる海外工場における人、機械設備、方法など品質管理
のポイントについて解説します。
工場監査・工程監査のポイント、新製品立ち上げ手順など、品質管理のポイントを詳しく解説します
★YouTubeミニ解説
1.検査で流出を防ぐ
第一に、何としても不良流出を防ぐため最終工程における検査を強化しな
ければならなりません。日本の品質管理の常識である「工程で作り込む」
と言う考え方を捨てて、まずは、「検査で流出を防ぐ」という考え方を
優先することです。
検査員の増強、検査機器の導入を行い、徹底的な検査体制を敷き流出を止め
た後、できるところから工程改善の取り組みを進めていきます。
日本人が付きりで検査を行って品物をハンドキャリーで日本に持ち込むなど
は、今までは可能でした。
しかし、コロナ禍の時代、自由に行き来することがままならない中で、確実
に検査を実施するには技術進歩が著しいデジタル機器の導入を進めます。
最近は、色々な機能を持った画像センサーが普及しつつあり、「寸法測定」
や「キズ・色」などを機械で判定させる機器の導入も検討の対象とすべき
と考えます。
2.IOTの活用
IOT導入による、機器の稼働状況の把握、不良データ、検査データの吸い
上げなど様々な情報がリアルタイムで把握できるようになってきました。
しかし、ものづくり現場と他の機能部門をつなぐ、あるいは複数の企業の
ものづくり現場をつなぎ飛躍的に生産性を向上させるIOTプラットフォーム
の構築・活用については、日本国内では事例がほとんどなく、自社工場内
のデータの見える化に留まっているのが現状です。
従来型の現場改善の延長によるIOT導入から、今後は海外外注企業も巻き
込んだIOT導入の取り組みによる新たな付加価値を生み出す企業ネット
ワークの構築をこれからは目指すべきと考えます。
3.豪華な設備に惑わされるな
現地工場を訪問した時、設備の立派さに驚かされることがあります。
ところが、これに惑わされて生産を委託したところさんざんな目に合った
という話をよく聞きます。結局、設備そのものの性能は良くても、それを
使いこなしているかどうかが鍵になります。
加工機械は、その機械ごとに特性を把握しているかどうか?また、加工材料
によって、加工速度、エンドミルなどの管理方法はどうやっているか?
精度の測定を、定期的に行っているか?など設備の維持管理の仕組みをしっ
かりと構築しているかどうかを見極める必要があります。それには試作を
何回かに分けて実施し、毎回同じ品質のものが出来てくるかを確認する
事も必要になってきます。
また、測定機は備えられていても、実際に測定できる人がいない、また測定
機が校正されていなかったなどは良くある話です。測定機があるからと言っ
て安心せず、飾り物でないかどうか?使っている形跡があるかどうか十分に
確かめる必要があります。
4.ミスを防止する仕掛けが重要
海外では作業者の定着率が低いため、どうしても教育訓練が手薄になり、
ミスも多発します。そこで、ポカヨケ治具、専用工具、人を介さずに測定
や検査ができる自動計測器・検査機、機械設備のアラーム停止機構(自働化)
の導入を進めます。
見た目で検査が難しい、塗装工程、メッキ工程、熱処理工程、溶接工程など
は、抜き打ちで工程監査を行うなど手間が掛かります。日本と異なり、工程
が一定条件を保つ管理が行われているとは限らず油断は禁物です。
従って、このような特殊工程はなるべく海外では実施しない工法を採用します。
安く、良いものを調達するには、それなりの事前準備、不良を流出させない
管理体制が必要で、日本で調達する感覚で、価格だけを追求すると、安かろう
悪かろうの世界から抜け出せないことになります。
★無料会員登録はこちらから(解説書・DVD割引)
無料ネット相談:問い合わせ/質問など <こちら>
無料品質管理書式フォーマット・簡易マニュアル <こちら>
無料メール講座(品質管理基本/設計品質向上/経営品質向上)<こちら>
YouTube動画サイト <こちら>
★マニュアル・テキスト一覧表ダウンロード<こちら>