なぜ不良が流出するのか?
同じ問題が再発する、検査で見つからず流出するなど不良対策で苦労
されている企業は多いと感じています。一体それはなぜなのか?
流出防止対策を行う場合、以下の3つの流出原因に応じた対策を講じな
ければ、いつまでたっても流出は止まりません。
不良流出の原因は、下図のように3つあり、まずそれを正しく認識する
必要があります。
そして大事なことは、それぞれの管理の「しくみ」で、問題が発生しない
ように元を断つことです。
第一の原因は、検査で不良を見逃す
これは単に、最終検査で見逃すだけでなく、中間工程で不良が発生した
場合、それを後工程へそのまま流してしまうことも含まれます。
つまり、不良が顕在化していても、そのことに気が付かない、あるいは
良品と判定してしまうためです。
これは、前工程では良品と判定しても、後工程で組み付けができない
部品同志が当たり、異音がするなど、部品だけでは判定できないが、
製品の段階で不良になるケースも考えられます。
これを最終検査だけで流出を防ぐことは困難な場合もあり、各工程での
良否判定基準を明確にしておく必要があります。
トヨタではあ「後工程はお客さま」という考えで不良を後工程に渡さない
という考え方があります。
詳しくは「トヨタ式「自工程完結」4つの重要ポイントとは?」参照
第二の原因は、特殊工程の管理不備
これは、不良の内容が外観検査では検出できず、破壊試験や寿命試験を
行わないと判定できない場合、不良が流出してしまいます。
塗装の剥がれ、溶接の強度不足などが該当し、これは作業工程の管理
状態を正しく維持し、記録し、確認する必要があります。このことを
工程の妥当性確認といいモノの検査ではなく、工程の検査により合否
を判定します。
日本の品質が優れていると言われる理由の一つとして、溶接や熱処理
などの特殊工程の技術があります。日本のこれらの優秀な技術は、今
まで熟練工によって支えられて来ましたが、最近は、熟練技術者が
少なくなり、品質確保が課題となっています。
「特殊工程」は、塗装、メッキ、接着、圧着、圧接、溶接・ロウ付け、
ハンダ付け、熱処理、アニール、焼結、鋳造・鍛造などが該当します。
詳しくは、「特殊工程管理」参照
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第三の原因は、信頼性設計の問題
出荷検査では良品であっても、市場における使われ方や使っている環境
条件で不良になる問題です。
設計時の強度計算が不備のため、振動で構造物が破損した、熱設計が
不備のため、高温環境下で使用中に発火したなどの例が該当します。
これらの問題は、耐久テストや環境評価試験で発見されない場合も多く
また工場の検査でも良品と判定されます。
製品設計や、工程設計における信頼性設計では、潜在する問題として「故障
モード」から、その影響によって製品にどのような影響を及ぼすのかを予測し
対策を講ずる必要があります。
詳しくは「故障モードとは何か?」参照
品質情報ナレッジシステムの体系図
物事を体系化するとは?
物事は、品質管理に限らず体系的に捉える必要があります。
体系的とは、個々の物事が一つの理論的な秩序やまとまりの中に組み込まれ
ていることを指します。
今回は不良流出原因を3つの切り口から違いと対策方法を考えてみました。
「体系的に学ぶ」「体系的な学習」は、効率的・効果的な勉強の方法であり
一つの視点だけにとらわれず、順序立てて総合的に学ぶことを意味します。
また、「体系化」は個々の要素をある一定のルールをもとに関連づけて、
大きな一つのまとまりへと仕上げていくことを言います。
「体系化された理論」「ノウハウを体系化する」というように、秩序だてて
まとめていく能力を養うことも管理者にとっては重要な事と思います。