小ロット受注生産製造業の課題は何か?
機械の稼働率を高めることでも、在庫を削減することでもない。
小ロット受注生産工場では、急な受注や設計変更に対応できること
そして、生産納期を守ることに徹しなけらばならない
現場管理者の視点から見たDXの進め方とは?トップ方針と現場の活動の融合
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その納期を守るために最も重要な要素は、以下の2つです。
・きちんと生産計画をたてる
・リアルタイムに実績を収集
することです。
1.株式会社 S精工の事例
S精工は創業以来、精密加工技術を強みとして、お客様の要望に一品一様
に応え、精密金型開発や精密成形に取り組んでいます。
しかし、工場の課題として、以下の項目が指摘されていた。
①生産実績情報がすぐに見つからない
帳票類が、紙、PCのフォルダに保管されており、必要な帳票を探すのに
1時間以上掛かっている
②工程計画の調整に手間を要する
計画担当者は現場の現在の状況が分からないため、加工現場に出向い
たり、営業担当者に頻繁に状況の確認が必要となり、正確な情報を
得るまでに時間が掛かる
そこで、この課題を解決するため、ある受注生産に適合した生産管理シス
テムを導入した。
導入後の主な効果として以下の3つが上げられる
①必要な情報が全て蓄積されるようになり管理ナンバーによって「過去
の外注先」や「製造に必要な時間」「価格」など、すぐに情報を見つけ
出すことができるようになった
②特急品を受けたら、画面を見て、工程を動かして無理なく調整できる
現場や営業担当者への質問も減り、お互いにストレスなくコミュニケ
ーションが取れるようになった
③工場の生産キャパが増加し、内製化比率の向上に繋り、限界利益率が
74%も増加した

2.リアルタイムIOTがめざすもの
IoT×生産管理システム導入に当たって、三つの「見える化」がポイント
になります。
①工場の「見える化」……工場設備、生産実績を「見える化」すること
②管理の「見える化」……受注・計画・進捗・遅れをリアルタイムで
「見える化」すること
③経営の「見える化」……意思決定、管理会計を「見える化」すること
新たな受注につなげること
究極の目的は、見える化により受注増につなげ、利益を獲得することです
3.IOTの課題
IOTによる機械の稼働監視システムは普及しつつあるが、複雑な行動を伴う
人の動作、行動をリアルタイムで把握、見える化するシステムは、普及が
進んでいない。

作業者の加工開始/完了などの単純入力作業の場合でも、その必要性を
理解してもらう必要があり、実現が困難なケースが多い。
・リアルタイムに現場の進捗を把握するためには現場の協力と作業者の
意識付けが必要
・タブレットなどの端末をどの工程に設置し誰が操作するか?
など、現場の協力が欠かせない。
「きちんと生産計画を立てる/リアルタイムで実績を収集する」
小ロット受注生産製造業では、最低限この基本機能が実現可能なシステムを
導入することが求められるが、このことを理解なしに、生産管理システム
を導入しても、単なる伝票発行機と化してしまうことは間違いない。