FMEA導入の効果が得られない5つの理由とは?モグラ叩き品質管理の弊害!

FMEAとは?
FMEAは製品の信頼性(安全性)対策が万全かどうかを評価する手段です。
設計段階で市場で起こり得る故障発生、事故や災害を洗い出し、その
リスクを低減させる対策が十分かどうか定量的に判定します。

FMEAは信頼性設計の手法の一つで、従来の不良率を低減させる取り組み
とは異なり、市場に流出する潜在する重大な問題(リスク)に設計時点で
「気付く」ことが重要となります。


また設計者個人の持っている知識や経験には限界があるため、設計の漏れ
や欠落を防ぐ目的で、FMEAレビューを実施します。

DRBFMとは?
DRBFMは、製品やユニットの設計を行った際、基本となる設計に対し、
その変更点・新規点に着目します。(トヨタ式DRBFMの基本的考え方)

たとえば、自動車部品の材質を変更したため、錆が出やすくなるという
心配があるとします。では、その錆は、その製品がどんな環境で、どん
な使用シーンのとき起きやすく、その時どのような影響が出るかを考え
ます。

故障モード、「錆」の発生は、「その部品はいづれもろくなって破損
するだろう。その時、エンジンや車体にどのような悪影響を及ぼす
だろうか」と考えます。

錆がどのようなプロセスで発生し、それが製品の故障に発展し、事故に
つながる恐れがある、というように、一連の流れの中で、心配点を抽出
する必要があるのです。

これには、過去のデータの蓄積、および経験と知識が必要となり、有識
者を交えたディスカッションが欠かせないのです。

製品設計、工程設計プロセスの現状
しかし、一般的な製品設計、工程設計では、このような心配点の検討が
行われず、実際のモノづくりに入ってから、試作評価や、評価試験で表面
化した問題に対しフィードバックを行っているだけであって、設計プロ
セスは従来のまま、FMEAを導入しても基本的な設計プロセスはそのまま
で、FMEAを建前上実施しているに過ぎません。
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この方法は、後追いのモグラたたき式の品質管理であり、試作や評価試験
で表面化しない問題は、市場に流出し、事故につながる例が少なくあり
ません。
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設計プロセス見直しの必要性
そこで、品質管理の考え方を根本的に見直し、潜在リスク流出防止を主体
とする未然予防の設計プロセスへ転換しなければならないのです。

上の図の下側のフローは、設計時点で新規点・変更点の問題点を明らかにし
FMEAを実施して信頼性に漏れがないことを確認後、図面をFIXさせる設計
プロセスとしている例を示しています。

このように、FMEAを導入する際には、設計プロセスそのものの考え方
手順、設計ツールを見直す必要があるのです。

以上により、FMEAを導入しても、役に立たない5つの理由を列挙します。

1、未然予防の品質管理の考え方へ転換できない
 組織、設計者ともに、後追いのもぐらたたき体質から、設計時点で潜在
するリスクを発見する、未然予防の品質管理へのパラダイム転換ができない

2、設計時点で、潜在リスクの洗い出し手法が確立していない
 市場のリスクを低減させるためのリスク抽出手法、設計プロセスが確立
されていない

3、市場における過去トラブルデータの蓄積が不十分
 失敗データ・ナレッジデータの蓄積、共用化、メンテナンスのしくみが
不十分となっている

4、部品製造メーカーのFMEA実施目的が明確化されていない
 部品製造メーカーは、その部品の故障モードが最終製品に及ぼす影響、
(リスク)を理解していない、また情報が得られないため、何の目的で
FMEAを実施するのかが不明確となっている

5、リスク評価項目と評価基準不適切
 影響度、発生頻度、検出度の評価項目と基準が十分検討されておらず
不適切のため正しいリスク評価ができない

以上のように、設計者の古い考え方、組織のFMEAに対する正しい考え方
の欠如、もぐらたたき品質管理の考え方に沿った設計プロセスを変えない
限り、FMEA導入は失敗に終わるでしょう。


正しいFMEAの考え方・進め方は下記の解説書を参照して下さい。
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