中小製造業の利益の出る事業計画の立て方(その1):経営品質向上に第一歩!まず現場の実態を定量的に把握する!その手順を公開します。

中小製造業がコロナ禍の中で、生き残り、利益を確保していくにはどの
ような対策が必要でしょうか?
経営品質を高め、利益を確保していく手順を詳細に解説したいと思います。

 ★中小製造業の利益の出る事業計画の立て方(その2)

1.中小製造業の課題
日本の中小企業の多くが多品種少ロット部品加工メーカーです。
その特徴として
(弱み)
 ・ロット当たり数量が少なく、急な依頼がくる
 ・納期に追われているが、基本的に人手が足りない
 ・生産進捗が把握できない、直前になって納期遅れが発覚する
 ・品質、コスト、納期管理面で熟練者の経験・カンに頼っている
 ・受注品は様々な形状があるが、製品設計は客先指定のため変更できない
 ・工場が狭い。(機械やモノで埋まっている)
(強み) 
 ・様々な部品加工に対応できる
 ・その製品、その加工、生産に特化しているためノウハウが多い
 ・短納期対応ができる
 ・社長や現場長の判断で動きやすい(判断が早い)

このようなことから、各部門が抱えている課題は以下の通りです。
現場部門
 ・多品種生産で段取替えが多いため、自動化システムの導入が困難
 ・手作業やカンによる作業が多いため自動化が難しい
 ・人的ミスが繰り返し発生するが、人材育成する時間が取れない 

間接部門
 ・業務が個人スキルによって行われブックボックスになっている
 ・生産の実態がリアルタイムで把握できる生産管理システムがない
 ・事務処理がEXCEL、紙ベースの管理で、IT化が困難

経営層
 ・優秀な若手人材の雇用が困難で、熟練技能の継承が進まない
 ・市場の伸びは頭打ちで、新規顧客開拓が難しい
 ・自己変革が出来ず、受け身の下請け体質が残っている

2.利益の出る事業計画の立て方
このような厳しい環境下、中小製造業は、利益の出る事業計画をどのように
立てていったらいいでしょうか?

よくある例として、「こういった製品は売れそうだから、これを製造販売して
利益を出そうといった安易な考え方は絶対禁物です。
実際には、これに類した事業計画書が多く、大部分が途中で頓挫してしまう
のです。

(1)進め方
計画を立てる前に、進め方・手順について確認しておきます。
まずは、問題解決型QCストーリーに基づいて、「自社の現状を把握」し
利益の出ない原因を追究」し、その対策案を検討します。

次のステップとして、「変革の方向性を探る」ため、課題達成型QCストーリー
により改革案を立案し、利益目標達成計画を立てます。 

(2)現状把握により利益の出ない原因を追究する
では実際に、利益の出ない原因をどのように捉えていったらよいかを考え
てみます。
根本となる考え方は、利益を得る(赤字を解消する)ための必要生産高と
必要人員を割り出し改革を進めていくという考え方です。


ここでは、少なくとも月単位で、以下の数値の推移を見える化します。
1)人員と就業時間、人件費を正確に把握する(月単位で)
  ①正規従業員数(直接間接含む)と人件費総額
  ②就業時間(定時内+残業)を把握する(月単位で)
(2)社外外注費を把握
(3)売上高対費用の算出(毎月単位)

上記よりA,Bを計算し比較します。
 A=人件費(給料+残業費)+原価償却費
 B=売上高-材料費ー外注費 

 A<Bなら利益がでる
 A>Bなら赤字

ここから、なぜ利益が少ないのか?なぜ赤字なのかその原因を探ります。
 ・残業が多い場合は、なぜ残業が多いのか?
 ・それは生産が平準化していないため、ある時期に仕事が集中するため
 ・では仕事がなぜ集中するのか?
というように、なぜなぜを繰り返し、原因を探ります。

このように、まず現状の事業の状況、生産の実態を定量的に掴み正しく
経営状況を判断し、PDCAを回し、問題点を改善していきます。

しかし、この改善活動によって利益を拡大していくには限界があります。
なぜならば、生産の平準化が図られ、生産性が向上し、生産能力に余力
が生じますが、その余力を使って、もっと売り上げをアップさせる、付加
価値の高い製品を生産するなどの、新しい取り組みが求められるのです。

つまり、事業の再構築が必要ということです。
事業再構築を図るには、どのような取り組みが必要か?次回で詳しく
解説したいと思います。

(続く)


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製造業の未来に向けたメッセージ

★製造業改革 三つの柱
一つ目:人材育成
二つ目:技術力(品質)向上
三つ目:下請け体質からの脱却(顧客開拓のしくみ)


日本のものづくりは、人に受け継がれてきた熟練技能と、全員一丸となって困難に立ち向う、力の結集力より優れた製品が生み出され世界的に高い評価を受けてきました。

 しかし、これだけでは、これからの時代に中小が生き残っていくことは困難になって来ました。市場の厳しい品質要求に応えていくこと、また多様なニーズをとらえて機敏に対応していくことが求められますが、売り上げの伸び悩み、人材難熟練技能者のリタイヤなど、経営資源の不足する中小企業では今までのやり方では対応が困難となっています。

 中小企業にとって今求められるのは、このような時代の要求に応えられる若手人材を育成することです。必要なのは、自ら課題を設定してそれを解決していける「自立型人材」です。また、デジタル革命が進む中、IOT・AIなどの知見を持つ技術人材の育成も急務です。

 IOTの時代が到来し、ルーチン業務は機械への置き換えが加速するといわれています。機械により生産性向上を図ってその分人は付加価値業務へシフトし、新たな製品や新市場の開拓を行い、利益を確保していかなければなりません。デジタル化社会の今こそ、中小企業は、顧客視点のきめ細かいアナログ対応力が求められています。

 経営層は、これらの時代の変化を捉えて、従来からの下請け体質を打破し、果敢に事業変革にチャレンジしていかなければ明るい未来は開けません。

・自立型人材の育成
・差別化固有技術の深耕
・顧客対応組織の新設

など、中小企業の持つソフトな経営資源(人、技術、組織)と、アナログ対応力(顧客の期待に沿う)に磨きを掛け、これらを武器に新たな事業の可能性を追求し、利益を得ていくことこそ日本の中小製造業に課せられた使命と考えます。

   高崎ものづくり技術研究所
   代表 濱田金男