生産性向上の攻めどころ;多品種小ロット生産におけるTOC理論とスループット向上

多品種小ロット生産における生産管理は、需要変動に追随して工場を効率良く
運転するしくみを構築する必要がある。


  現場管理者の視点から見た生産性向上の進め方とは?
  トップ方針と現場の活動の融合を図る


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●工場は短納期、需要変動に対応するため短リードタイム生産を実現していかなけれ
 ばならない。それは、直接部門だけにとどまらず、間接部門の生産性の向上、品質
 の向上などの取り組みも含みます。

●リードタイム短縮を最も重要なアプローチとして位置づけているのは、最終的には
 “スループットの向上”を図るためである

●スループット向上実現の基本思想はモノの『停滞排除』と『情報制御』である

●本解説ではTOCとIOTによる生産管理方式を提案する
 ・TOCによるスループット向上と在庫削減
 ・IOTによる情報制御
★TOC理論(制約条件理論)による中小製造業の生産性向上・リードタイム短縮対策
★No.04 品質向上・生産性向上のための現場改善の進め方講座

1.スループットとは
スループットとは、付加価値とも言い、工場において材料をインプットし、それを
出来るだけ早く、出来るだけ多くの価値ある製品を生み出せるか、その処理能力を
表している。
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2.スループットを向上させるには?
出来るだけ早く、出来るだけ多くの製品を生み出すために、工場全体の処理能力を
高めなければならないが、そのためには以下のような対策を講ずる必要がある。
 ①人時生産性の向上(従業員一人当たり、一時間当たりの生産量を増やす)
 ②機械生産性の向上(機械一台当たり、一時間あたりの生産量を増やす)
 ③工程間の停滞(仕掛在庫)を無くし、リードタイムを短縮する

具体的には
 人・・・教育訓練の実施・スキル向上、多能工化
 設備・機械・・・能力アップ、チョコ停対策、自働化(異常停止)
 方法・・・TOC理論に基づくジャストインタイム生産方式採用
      7つのムダの削減、異常の早期発見、自工程完結工程確立
などとなります。

しかし、これだけでは、飛躍的な利益アップにはつながらない!
3.TOC理論とは
TOCの基本的な考え方は、生産性を高めて利益を出すこと
TOCとは「Theory of Constraints」 の略で、日本語に翻訳すると、「制約条件の
理論」で、イスラエル人の物理学者の、エリー・ゴールドラット博士が、提唱した
経営システム改善の方法論。
工場の生産性は、制約条件工程の能力以上は絶対に向上しないという原理があり
この制約条件工程(ボトルネック)を見つけ、それを集中的に改善、管理し、生産
性を飛躍的に高めることが狙い。

TOCでは利益を出すために以下の3つの条件を満たすことが必要
(1)スループット(付加価値生産性)を増加
(2)在庫、仕掛りを減らす
(3)経費(固定費などの社内費用)を減らす

生産現場で考えた場合、制約条件は能力の一番低い工程や設備である。
しかし、その原因は単なる能力不足だけでなく、以下の4つの制約条件がある
(1)物理的制約;純粋に生産能力が不足している(人の能力、機械の能力)
(2)方針制約;社内の規定・制度や組織構造などマネジメントの仕組み・企業
   文化・風土に制約がある
(3)市場制約;生産量が伸びない原因が需要不足にある
(4)機会損失;せっかくの受注チャンスが、顧客情報不足、プロモーション不足
   などで失われている、または生産性の低さにより受注を逃している

TOCによる経営革新手法は、このように制約条件の発見・解決を繰り返していくこと
である

 ★TOCの基本的な考え方:制約条件理論による利益の創出
3.多品種小ロット生産工場の生産性向上による利益確保
工場のスループット(付加価値)を高めることにより、そこに余力が生じ、人材を
更なる付加価値業務に付けることができる。付加価値の高い製品・サービスを提供
することによって、売り上げが伸び、更に付加価値が増加するという好循環が生ま
れる。
(1)製造技術を高めることによって、他社との差別化が可能となる
(2)顧客情報収集を行うことによって、顧客の要望に応えた製品やサービスを
   提供できる
(3)新たな市場へ進出、新たな顧客獲得が可能となる


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