(①の続き)
ドリル加工の穴径の精度に影響する要因を3種類、それぞれの設定値を2種類
とすると、最適な組み合わせを求めるには、通常は2×2×2=8種類の組み
合わせで実験を行い、穴径を測定し、どの組み合わせが一番優れているかを
確かめる必要がありますが、実験計画法では、実験回数を4回に減らすことが
可能になります。
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3種類の因子と、各因子の水準の数を2種類としたドリルによる穴あけ加工の
実験を行う手順を以下に解説します。
STEP1 各因子の水準の値を決める
実験に先立って、カタログ値、計算値を基に具体的な数値を決定します。
①ドリルの切削速度(遅い:水準1、速い:水準2)
②ドリルの回転速度(低い:水準1、高い:水準2)
③ドリルの送り速度(遅い:水準1、速い:水準2)
①切削速度はメーカーカタログに記載してあることがほとんどですので計算
する必要はあまりありません。ドリルの品番と被削材を確認して、切削速度
を調べてその値を使用して、遅い/速いを決めます。
例えば超鋼ドリルを使用して、ステンレス鋼に穴あけする場合は15~30m
/分と指定されているので遅い:15m、速い:30mと決めます。
②切削速度とドリルの径がわかるとドリルの回転速度を求めることが可能です。
回転速度=切削速度×1000/(3.14×刃径)の式から3mm径のドリルを使用
すると、低い:1600rpm、速い3200rpmとなります。
③送り速度は計算でも求められますが、カタログに記載してあるものを参考
にします。
超鋼ドリルを使用して、ステンレス鋼に穴あけする場合は、0.1~0.3mm/rev
ですので、遅い:0.1mm/rev、速い:0.3mm/revとします。
①ドリルの切削速度(遅い:15、速い:30)
②ドリルの回転速度(低い:1600、高い:3200)
③ドリルの送り速度(遅い:0.1、速い:0.3)
直交表(L4)に因子と水準を割り付け、これで実験の準備が整ったことに
なります。
STEP2 実験の実施
精度の高いデータが収集できるよう実験を実施します。データ(特性値)は
上図のように、直交表の右に1つ、列を追加して入力します。
STEP3 実験データの解析
(1)数値的分析
因子ごとに水準別平均値を計算して、数表にまとめます。
1~4の実験をそれぞれ10回実施して、合計40個のデータを取得します。
(回数は多ければよいが、それだけ手間がかかることになります)
(2)視覚的分析
数表を基に、下図のようなグラフを作成して、各因子の特性値への影響の
大きさを検証します。水準間の平均値の差が大きい因子ほど、特性値への
影響が高い因子といえます。
これ見ると回転速度の因子の効果が大きく、次に送り速度が続いています。
回転速度の因子の変化は一番小さく、特性値への影響は少ないと言えます。
以上の結果から、回転速度を3200回転に設定することによって加工精度が確保
でき、ばらつきも少ないとの結論が得られた。
今回は因子の数3、水準は各2で4回の実験を行ったが、因子の数を5、水準
は各3としてL8の直行表を使った実験を行うことによって、より詳細な実験
を行うことが可能となる。
(L8の直行表は前回①の記事参照)
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