初期流動管理とは?量産開始後の初期トラブルを回避する品質管理手法

量産を開始後の初期段階(2,3ロットまで)のことを初期流動期間といいます。
この期間は、不具合が発生しやすく、製造工程が安定しない時期になり、特別
な管理が必要になります。

 工場監査・工程監査のポイント、新製品立ち上げ手順など、品質管理のポイントを詳しく解説します


量産開始した直後では、製品設計や、工程設計で見落としていたこと、あるいは
たくさん製造することによって、加工や組み立てのばらつきが出るため、それが
問題となって現れてきます。

不具合がなくなり、目標品質や目標生産リードタイムに達するまでは、生産状況
の情報収集を行い、問題が出たらすぐに改善を行う、工場全体の管理体制を作って
初期流動管理を実施します。

初期流動管理の手順(例)を下記に示します。

1.目的
活動の主な狙いは、以下の通りである。
①初期流動管理活動スタート時点での未解決品質問題の早期解決。
②活動期間中に発生する品質問題の早期解決及び潜在している問題点の早期
 顕在化による早期解決。
③部門にまたがる品質問題の早期解決。
④品質問題に対する確実な是正処置の実施(設計・工程への反映)。

2.対象機種の選定
基本は重要度の高い製品(ランク A)を対象とする
デザインレビュー会議において関係部門と整合の上対象機種を決定する。

3.活動期間
量産第1ロット組立時から、2ヶ月間連続して初期品質目標を達成するまで
を基本とする。
ただし、達成できない場合は、初期流動管理プロジェクトチームにて検討の上
活動継続の要否を決定する。

4.活動体制とメンバの役割
本活動は、以下の体制から成る初期流動管理プロジェクトチーム(以下、PJと
言う)で実施するが、主査,副主査については、委員を兼ねることが出来る。
また、その主な役割は、下表による。
初期流動管理.jpg

5.管理項目
管理項目として以下の項目を設定する。
(1) 工程内品質
(2) 初期品質

6.実施手順
初期流動管理の対象製品選定から解散宣言までの実施手順概要を以下に示す。

① 初期流動管理対象製品の選定
新製品開発プロジェクトリーダは、品質保証部門及び他の関連部門と整合の上
初期流動管理対象製品の選定を行う。

② Pjメンバの任命
新製品開発プロジェクトリーダ(以下、主査と言う)はPJメンバを選出、任命
DRにおいて宣言する。PJメンバの選出に当たっては、各メンバ所属上長の了解
を得る。

③PJ活動計画書作成
主査は、活動内容などについてPjメンバと協議し、以下の内容を含めた 初期
流動管理プロジェクト活動計画書を作成する。
 ・Pjメンバの役割(権限委譲事項の明確化など)
 ・管理項目及び目標値
 ・Pjスタート時点の未解決問題の解決計画
 ・定例会議、緊急会議の開催基準
 ・指示,報告,及び情報伝達のルール

④活動
PJメンバはpj活動計画書、主査の指示、及び部門代表としての役割に従い活動
する。

⑤工程内品質データの把握と重要不具合点の是正処置
品質管理部門は対象製品の工程内品質データを収集・分析し、問題の解決及び
対策を推進する。

⑥初期品質情報把握と重要不具合点の是正処置
品質保証部門は、対象製品の初期品質データを収集・分析し、必要により責任
部門に対策を指示する。

⑦品質目標達成状況の監視
品質保証部門は、対象製品の初期品質目標の達成状況を監視する。

⑧PJ解散の決定と宣言
主査は、当該製品初期品質が 2ヶ月連続して目標達成した時にPJの解散を決定し
完了報告書作成の上、PJを解散する旨をDR参画部門へ周知する。

なお、目標達成を確認するに当っては、目標値を確認出来る製品台数に達して
いる事を前提とする


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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
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