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実験計画法の基本を学ぶ!実験計画法を使って部品加工精度向上を図るには?

実験計画法の基本を理解し、部品加工精度向上を図るには?
シリーズで具体的に解説していきます。

実験計画法は、統計学の応用分野の学問です。実験に際しては、勘や
経験だけに頼らず、統計手法を使いながら、より少ない費用と時間で
有効な結果が得られるように、計画、実行することができます。

しかし、実際にどうやって製造工程の改善に適用したらいいか?
わからないといった工場スタッフも多いと思います。

 ★実験計画法による品質の安定した工程の実現方法

 ★実験計画法による品質の安定した工程の実現方法

 ★データ活用による品質向上対策事例

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1.実験計画法の目的
実験計画法は、ある因子(要因)の条件を複数の水準で変えて実験を
行う際に、効率良く、かつ漏れのないようにデータを取得して、統計
的に結果を判定する解析手法です。

もっとわかりやすく、例を挙げてみましょう。
例えば、ある製品の寸法が、加工条件の温度と圧力に影響を受けること
が分かっているとします。
この寸法を狙い通りに加工するには、因子(温度と圧力)の条件を変え
て寸法データを取得し、どの水準が最適か決めればよいことは直感的
にわかると思います。
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ただ、単純に寸法データを比較するだけでは、最適水準は選べたとし
ても、影響がどの程度なのか、因子どうしの相互作用はあるのか、
定量的に解析することはできません。

また、水準の数が多くなった場合に、水準の組み合わせを総当たりで
調べるには膨大な労力がかかりますし、だからといって適当に直感
で水準を減らすわけにもいきません。

そこで、実験計画法の考え方を適用して、水準割り付けをルールに
則って計画し、それぞれの因子の効果の大きさや相互作用を統計的
に判定しようというものなのです。

2.直行表を用いた実験計画法の適用方法
直交表は実験計画法において実験の効率性を高めるために利用され
ます。直交表は、異なる要因の組み合わせを実験するための行列です
が、異なる種類の直交表が存在します。
これらを適切に選ぶ際のいくつかの基準があります。

直交表による実験は、一部の水準の組み合わせで実験を行うもので、
部分配置実験と呼ばれ、水準の組み合わせを総当たりで行う要因配置
実験とは異なります。

直行表による実験は、特定の水準に偏ることなく均等な割り付けが
可能で、かつ評価の組み合わせ通り数を大幅に削減できる特徴があり
ます。

3.直行表の種類
例えば、L8直交表では、7つの因子を2水準で評価するので、総当た
りでは2の7乗で128通りの実験が必要ですが、直交表では8通りで
良いのです。

このように、実験の負荷を大幅に減らせることが部分配置実験の最大
のメリットで、L8直交表以外にも3水準に対応したL9直交表、15の
因子に対応したL16直交表など多くの様式があります。
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4.交互作用について

(1)交互作用とは
交互作用は、複数の要因が結果に対して単純な加算効果や独立した影響
を持たず、相互に影響し合うことを指します。要因同士が結びつき、
一緒に働くことで予想外の結果が生じる現象です。

例えば、AとBという2つの要因があり、それぞれが結果に影響を与える
とします。交互作用がない場合、Aが結果に与える影響は一定であり、
Bが結果に与える影響も一定です。しかし、交互作用がある場合、Aの
影響がBのレベルによって変わる、あるいはBの影響がAのレベルによっ
て変わる可能性があります。

交互作用が存在すると、個々の要因の影響を単独で考えるだけでは、
結果を正確に予測することが難しくなります。そのため、統計的な分析
や実験計画において、交互作用を検討することは重要です。
交互作用の理解は、要因間の複雑な相互関係を考慮し、より正確なモデ
ルや結果の予測を可能にします。

直行表は実験計画法において因子と水準の割り付けに用いられます。
実験をどのような水準組合せで行うかを決めるのが「割り付け」です。
交互作用を考慮しない場合は、因子を直交表のどの列に割り付けても
構いません。
しかし、交互作用があらわれる場合は、交互作用があらわれる列に他
の因子を割り付けると、これらが交絡(要因効果が混じりあう)しま
すので、要因効果が交絡しないように割り付けする必要があります。

直交表を使った実験計画法では、水準の組み合わせ次第で交互作用が
発生します。この時水準の割り当て方によって交互作用の影響を受け
てけ結果が変わってしまうことがあります。
(3)交互作用の確認方法
①グラフ化:複数の因子の水準組み合わせごとに結果をプロットし、
異なる水準の効果が異なる場合に交互作用の可能性を視覚的に確認
します。
②統計的分析:交互作用項を含めた重回帰分析や分散分析を実行し、
統計的な検定を行って交互作用の影響を評価します。交互作用項が
統計的に有意であれば、交互作用が存在する可能性が高いとされます。

③L8直行表:直交表のどの列に交互作用が出てくるかは決まっていて
L8の直交表の場合1列目と2列目の要素間に交互作用があると3列目に
その影響が出てきます。(詳しくは別途解説)

(4)交互作用が認められた場合の対処法
①効果の解釈:交互作用が認められた場合、因子間の関係が単純な加算
効果ではなく相互に影響し合っていることを示します。この場合、因子
の影響を独立に解釈するのではなく、組み合わせ効果として解釈する
必要があります。
②実験の追加:交互作用が見られた場合、それをより詳しく調査する
ため、追加の実験を行うことがあります。新たな水準の組み合わせや
特定の条件下での実験を追加することで、交互作用の影響をより深く
理解することができます。
③モデルの変更:モデルに交互作用項を追加することで、交互作用を
考慮した新しいモデルを構築することがあります。これにより、より
正確な予測や結果の説明が可能になります。

交互作用が認められた場合、単純な加算効果のモデルでは不十分である
ことが示唆されます。そのため、交互作用を適切に理解し、適切に対処
することが重要です。追加の実験やモデルの変更を通じて、交互作用が
実験結果に与える影響をより深く理解することが重要です。

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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
 日本が誇るものづくり技術にもっと磨きを掛けよう!!

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