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工程能力指数(CPK)を使って、工程を管理するには?

工程能力指数(Capability Process Index、CP)は、製造プロセスの品質
管理における重要な指標の1つです。
CPは、プロセスの正確さと一貫性を測定し、特に製品が許容範囲内でどれ
だけ、ばらつき無く製造されるかを評価します。


Cpは、プロセスの分散が小さく、仕様範囲が大きいほど、高い値を取ります。
具体的には、以下の式で計算されます。

    Cp = (上限値 - 下限値) / (6 × 標準偏差)

上限値と下限値は、プロセスが満たす必要がある仕様範囲の上限値と下限値
を表し、標準偏差はプロセスのばらつきを表します。
Cpが1以上であれば、プロセスは比較的安定しており、仕様範囲内での製品
の生産が期待できます。
Cpが1未満であれば、プロセスは改善が必要であり品質の向上が求められます。

Cpを用いる際の条件は「その工程が完全に管理されていること」
完全に管理されている工程とは管理図を用いた際に下記の条件を満たしてい
る状態を言い、統計的には正規分布に従うと表現されます。
 ①すべてのデータが管理限界線内に保たれている
 ②データの平均が規格幅の中心値である

規格幅が±3σの時にCp=1.00となりますが、この場合の不良率は0.3%と
なります。
  工程能力= ±3σ(6σ) →規格幅を外れる可能性は約0.3%

例えば1000個のサンプルを測定した場合に997個が平均値を中心とした±3σの
バラツキ範囲内にあることを意味します。
CPKと不良率.jpg

CPKは、完全に管理されていない工程の工程能力
データの平均値と規格幅の中心値が一致することはほぼありえません。
従って、バラツキを考慮したうえで工程能力指数の算出が必要となってきます。

ここで用いられるのがCpのズレを補正した(=平均値が規格幅の中心値からどれ
だけズレているかを考慮した)CPKです。考え方はCpと同様ですが算出方法が
異なります。

CPは「完全に管理された理想の工程」を想定したものですが、一方、cpkは
「偏りを考慮した、より実務的な工程」の数値を表わしています。

CPKは通常、以下のようなステップで計算されます。
①プロセスの観測
 プロセスからデータを収集します。一般的には、製品の寸法や特性に関する
 データを収集します。
②規格の定義
 製品の仕様や許容範囲を定義します。これは、製品が許容される範囲を示す
 ものです。
③CPKの計算
 CPKは、製品の仕様の中心と、プロセスのばらつき(標準偏差)の比率で
 計算されます。具体的な計算式は次の通りです。CPK.jpg
ここで、上限仕様限界は製品の上限規格値、下限仕様限界は製品の下限規格値
平均値はデータの平均値、標準偏差はデータの標準偏差です。
CPKは、CPK(上限)、CPK(加減)のどちらか小さいほうの数値を採用し
ます。

CPKの値が1以上であれば、プロセスは一般的には許容範囲内で品質を維持して
おり、より高いCPK値はより一貫した品質を示します。
一方、CPK値が1未満の場合は、プロセスが許容範囲外で品質がばらついている
可能性が高いことを示します。
20201010072112.png

製造業の品質管理分野では、CPKは品質改善やプロセスの安定化に向けた目標設定
や評価に広く使用されています。



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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
 日本が誇るものづくり技術にもっと磨きを掛けよう!!

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