2019年10月07日

TOC理論による生産性向上・リードタイム短縮対策トップページ(目次)

キーワード解説:生産性向上・リードタイム短縮対策

生産性とは「単位あたりの付加価値額」を意味します。付加価値額とは
売上金額から外部流出費用を引いた金額で表します。

「労働生産性」は社員一人当たり付加価値額を意味します。従って、単に生産
数量を増やしたり作業時間を短縮したりするのは「生産効率向上」であり
付加価値額が増えなければ「生産性向上」とは言いません。

付加価値額を増やすためには「売上額を増やすこと」と「外注費を減らすこと」
です。いづれにしても、それに見合う社内の生産能力は確保しておく必要が
あります。

第一章:工場の生産性向上・リードタイム短縮の取組み

第二章:TOC(制約条件理論)に基づく生産性向上対策
 ★TOCでどれだけ利益を出せるか?

第三章:スループット会計
  (赤字転落した工場の緊急対策とは?)


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工場の生産性向上と稼働率

「稼働率」と「生産性」との関係を整理してみます。
稼働率は、機械の動き方だけではなく、人の働き方も含まれます。
稼働率が上がれば生産性も向上すると考えがちですが、そこには大きな誤解が
あります。




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1.工場の稼働率とは?
「稼働率」とは、どれくらい効率的に製品がつくられているのかを表す指標です。
つまり、同じ時間内でよりたくさんの製品を生産する工場は、稼働率が高い工場
と言えます

例えば、機械が故障し、製造ラインがストップすれば、人が働けない時間分の
給料や、動かない機械の維持費や修理費などのコストが掛かります。人に払う
給料や機械にかかる費用は、製品をつくるために掛かったコストとして原価に
含まれます。

限られた時間の中でつくった製品の数が多ければ多いほど、製品1個当たりの
コストの負担が小さくなるので、原価を低くすることができます。

例えば、ある工場の製造ラインでは1日で8000個の製品が生産されます。1時間
当たりの平均的な生産能力が製品1000個とします。1日の労働時間が8時間と
すると、1日当たりの標準生産能力は8000個です。ある日の生産個数が6000個
だった場合、その日の稼働率は、6000個÷8000個=75%となります。この
ように一般的に、稼働率は実際に生産した個数を生産能力(本来生産できる
個数)で割る」ことで計算できます。

また、実際に稼働した時間を稼働すべき時間で割るといった稼働率の計算方法
あります。例えば、1日の機械が稼働すべき労働時間を8時間としたときに、
実際に機械が稼働した時間が7時間だった場合、7時間÷8時間=87.5%が稼働
率となります。
このように、生産数基準と時間基準の両方を算出し比較することで、より詳細
にムダな作業などを知ることが出来ます。

2.稼働率はどうやって改善する?
稼働率の改善方法はその原因によって異なります。
さきほどの 稼働率の計算で、6000個分の注文しかないことが原因であれば、
営業に力を入れて受注数を増やすことで、工場の生産能力を最大限に活用
することができます。しかし、原因が工場にある場合には、機械や人の改善
を行うことが必要になります。例えば、作業員が製造に携わっていない間の
手待ち時間や、直接生産に関係しない間接作業の時間を減らすことも大切です。

手持ち時間をつくらないためには、
 ①部品の欠品によるラインストップを起こさないよう材料の数量や在庫の
  管理を徹底する
 ②不良を作らないようにする
 ③機械の停止・故障をなくすために、機械設備の点検・整備、清掃を計画
  的に実施する
 ④段取りの方法を工夫してムダな時間が発生しないよう効率化する
などといった対策があげられます。

間接作業を改善するためには、
 ①情報の連絡や部門での会議、資料の整理などのムダをなくす
 ②手直し品の数を減らす、運搬作業を効率化する
 ③検査・測定作業の効率化
などが稼働率の改善につながります。

3.稼働率が高ければ生産性は上がるのか?
では、稼働率さえ高ければ生産性は高くなるでしょうか?答えは否です。
ではその理由を説明しましょう。

まず、生産性とは「単位あたりの付加価値額」を意味します。付加価値額とは
売上金額から外部流出費用を引いた金額で表します。
労働生産性」は社員一人当たり付加価値額を意味します。従って、単に生産
数量を増やしたり作業時間を短縮したりするのは「生産効率向上」であり
付加価値額が増えなければ「生産性向上」とは言いません。
付加価値額を増やすためには「売上額を増やすこと」と「外注費を減らすこと
です。いづれにしても、それに見合う社内の生産能力は確保しておく必要が
あります。

生産能力が不足する場合は、まず設備の「IT化、自動化」を行うことであり、
能力が不足するからと言って、外注に出してはいけません。さらに重要な点と
して生産の空きが生じないように、「平準化生産」を行うことです。
以下に具体例を示します。
 ①生産が少ない期間は稼働を確保するために在庫品や長納期品の前倒し
  生産を行う
 ②全体の生産量を制限しているネック工程がフルに稼働する(少なくとも
  90%以上)ようにネック工程前にバッファー在庫を置く
 ③変動の大きい受注生産品と計画生産品の生産をミックスして生産し、
  生産変動が極力少なくなるように計画する
 ④取引先企業の生産・販売状況を独自分析し需要変動に備える
 ⑤リードタイムを短縮化して、その分受注を増やす活動を行う
 ⑥生産計画の仕組み、日程進捗管理のしくみを構築して生産を行い、その
  中で問題点、課題のフィードバックを行う

製造業は、人手不足が続き、生産能力の向上は非常に困難な状況にあります。
そのため、現在の各製造工程の製造能力と負荷状況を可視化してネック工程の
有効活用、平準化生産を優先して実施していくことが求められます。

4.稼働率と可動率の違い
「稼働率」とよく似た言葉に「可動率」があります。
「稼働率」が実際に製品をつくるために人や機械が働いた指標であるのに対し
「可動率」とは生産機能つまり機械を稼働することが可能であった時間を
指標化したものです。

工場の機械が故障をすると、修理が済むまでに人も機械も生産活動に従事で
きない時間(ロスタイム)が発生します。そのため、故障がなく常に機械が生産
し続けられるように、工場では日頃から機械設備の保守点検が行われています。

このように保有している機械のメンテナンスも万全で、故障なくいつでも生産
できる状態にある時間の割合を「可動率」と言います。

コストと品質のトレードオフをどう解決するか?

加工精度などの品質とコストは基本的に、トレードオフの関係にあります。
それらを、いかに高い品質レベルで価格を低くバランスさせるかが、企業の
競争力向上へとつながります。




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10の品質を10のコストで実現できる企業よりも、10の品質を5のコストで実現
できる企業や20の品質を10のコストで実現できる企業の方が競争力が高いと
いえるでしょう。

では、5の品質を5のコストで実現できるB社は競争力が高いのでしょうか。

もちろん、これは一概には言えません。市場が10の品質を求めているならば5の
品質では競争相手にはなりません。しかし、市場のニーズが5の品質であった場合
10の品質の企業がその品質をどれだけのコストで提供できるかが勝負の分かれ目
になってきます。

それは5の品質だからと言って5のコストで実現できるとは限らないからです。
7や8のコストでは負けてしまいます。その意味で品質とコストは、単純な比例関係
になることはなかなかありません。
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日本メーカーが海外、特に新興国のメーカーと競争するためには、品質とコストの
バランスをどう実現するかが今後、ますます重要になってきます。単に低コスト化
を図ったり、また単に高品質を追求するだけでは競争に負けてしまいます。

受注生産企業の場合、顧客から求められるのはまず、価格です。
品質トラブルを起こさない、納期を守る、これは当たり前のことであり、その前提
で、より安いメーカーへ発注することになります。

メーカーとしては、いくら安く受注しようが、儲けを出さなければ経営は成り立ち
ません。そこで注目されるのが「スループット(付加価値生産性)」です。
TOC_制約条件理論.jpg
「生産性」とは、投入資源と産出の比率です。

投入した資源に対して産出の割合が大きいほど、生産性が高いということになり
ます。つまり労働生産性とは「産出(労働の成果)」を「労働量(投入量)」で
割ったもの、言い換えれば「労働者1人あたりが生み出す成果」あるいは「労働者
1時間で生み出す成果」の指標です。

ですから、ムダや不良は極力なくす必要があり、更に従業員が少なくても生産高
を高く保てる工場が「生産性」が高い工場と言えます。

製造業は、生産性をいかに高めるのかが、究極の目的と言えます。
その中に当然、品質の改善も含まれます。

単に、検査をなくす、是正をして不良率を下げるという考え方ではなく「生産性」
を向上させるのはどうするかを考えるべきと思います。

スループット会計とは(付加価値生産性を高め利益創出)

ここでは、工場の生産性を定量的に表す、スループット、スループット会計
について解説します。




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1.スループットとは
スループットは一般的には、コンピュータ機器や通信路などの性能を表す特性の
一つで、単位時間あたりに処理できる量のこと。ITの分野では、コンピュータ
システムが単位時間に実行できる処理の件数や、通信回線の単位時間あたりの
実効伝送量などを意味します。

工場においても考え方は同じで、材料を仕入れたら、できるだけ早く加工して
単位時間当たりの生産スピードを高めることでスループットが向上します。
つまり、性能の良いCPUをいくつも使ったコンピュータがスループットが高い
と同じで、作業速度、加工速度を高めることで工場のスループットを高める
ことが可能となります。
スループット向上.jpg
2.スループット会計とは
お金の流れで見ると、スループットとは、製品を販売して得られるキャッシュ
(売上高)から、製品を販売するために投資したキャッシュ(材料費など)
を引いた額のこと。
 ★スループット = 売上高 − 社外へ支払った金額(材料費、外注費など)
スループットとは、言い方を変えると、材料を購入して社内で加工したり組み立て
たりして加わえられた付加価値額のこと。

スループット向上とは、売上高を上げること(高く売ること)と外部に支払う
お金を少なくすること、そして材料購入時点から、売上げ金額を回収するまでの
期間を短縮することをスループット向上といいます。

そして工場の利益は、付加価値額から業務費用を差し引いた額になります。  
 ★利益 = スループット(付加価値額) - 社内業務費用の合計
  (業務費用の合計=直接人件費+間接人件費+減価償却費+輸送費など)

受注生産工場のTOC&IOT活用による工場改革!1124東京.jpg

生産性向上の意味とは?②労働生産性を上げるポイント

日本の製造業者の2015年度労働生産性平均は中小企業が約762万円、大企業が
1171万円です。(中小企業白書2016)。
この差は、中小企業は、従業員一人当たりの付加価値額が大企業に比べ少ない
ことを示しています。




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前回①の解説で、労働生産性=付加価値額/総労働量であることを説明しました。
労働生産性の分子は生産量や売上額ではなく付加価値額(売上-外部費用)です。
いくら個別の機械ごとに段取り改善で効率化したりロボットを入れて自動化して
も分子の付加価値額が増えなければ生産性は上がりません。

付加価値額を増やすためには売り上げを増やすか内製化の促進が必要です。
業務効率化だけ行っても、その分仕事が増えなければ、余った人員を減らさねば
なりません。

近年の日本経済低迷を生み出したリストラによる固定費削減と同じ悪さに陥って
しまいます。

効率化し生産能力を増やした分、内製化すると同時に受注を増やすか、より付加
価値の高い(単価の高い)製品を受注する必要があります。

しかし生産量の変動が激しいと待機時間ばかりが増えるだけで付加価値額は増え
ません。当然増産に対応するために外注生産を増やすといったことは返って付加
価値額は増えないことになります。

付加価値額を増やすためにはできるだけ生産を平準化して空き時間のない生産を
心がけることが必要です。
生産平準化を実現するためには以下の対策が求められます。
 ①受注生産品の変動の谷間に計画生産品、長納期品を生産する
 ②受注ロットを分割して生産する(ダンゴ生産を行わない)
 ③生産スケジュールをネック工程に同期させる(ネック工程を遊ばせない)
 ④市場や取引先の生産・販売見通しを分析し需要変動に備える
 ⑤平準化生産のための指標化と見える化を行う
  「標準時間(標準工数)設定」
  「製造能力と負荷状況(稼働率)」
  「日程計画と進捗状況」
 ⑥人員の固定化を止め、応援体制のルールのもとに流動化させる

中小の工場では人手不足状態にあり、生産能力を増やせる状態ではない。
また簡単に自働化などの設備投資も難しいため、生産平準化のための生産管理
のしくみ導入が重要となってきている。

日ごろから、基準日程などの精度を高めておく必要があり、まずは既存の生産
管理
システムを使って、精度アップを行っていくことが重要になります。

以上をまとめると以下の5項目となります。
 ①生産効率化を図る(ムダの削減、IT化など)
 ②効率化により能力が増えた分、内製化を図る
 ③外注先をできるだけ絞る
 ④生産の平準化を図る(生産ロットをできるだけ小さくする)
 ⑤生産管理の精度アップ(サバ読み禁止)

ボトルネック工程基準の生産管理手法(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説)

自動車部品などの製造工場では親工場からの受注は典型的な多品種少量生産
を強いられています。背景として、海外生産・海外調達の増加により、国内で
生産するものは
 ・量の少ないもの
 ・納期の短いもの
 ・商品ライフさいぅるの短いもの
 ・設計変更、納期変更の多いもの
などが対象となっており、中小企業は、競争激化のなかで、条件が悪くても
このような案件を受注せざるを得ない状況にあります。




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このため多くの問題を抱え、経営を圧迫し、赤字経営に陥っている工場も
見受けられます。
 ①工程管理面・・・飛び込み、追加、変更が多く管理工数増加、在庫増加
 ②設備面・・・汎用機、稼働率低下、標準化、ライン化困難
 ③作業面・・・多能工化が必要、段取り替えが多い、新製品立ち上がりロス
 ④材料面・・・手配工数大、購入単価上昇、納期管理工数増、不良在庫増加
 ⑤仕様面・・・出図遅れ、技術者不足、品質トラブル増大、仕様確認工数増

そこで、このような工場の受注生産方式をどのように改善していったらいいか
具体的な手順を整理してみたいと思います。
 ①流れを清流化する
 (ライン数を極力絞り、製品ロットごとにどのラインを流すかを決めます)
 ②製造ラインに投入する基準ロット数量を決める
 (基準数より多い場合はロットを分割し流します)
 ③各ラインのネック工程を把握する
 (投入からネック工程まで、ネック工程から完成までの基準日程を決めます)
多品種少量.jpg
管理.jpg
以上により、ネック工程の能力を考慮し、ネック工程集中を避けた日程計画が
決まります。
ライン数を増やすのではなく、製品ごとに流すラインを固定し、ライン数を絞
ること、また注文数量をそのまま流すのではなく、基準ロット数量を決めて、
一回で流すロット数量を少なくすることによって平準化された日程計画が立て
易くなります。

また以下の改善活動を実施しながら、基準ロット数を少なく、基準日数を縮め
る努力をしていくことにより、更に平準化が進みます。
 ①段取り時間を短縮する
 (シングル段取り、外段取り化)
 ②工程ごとのストア最大数量を決める
 (最大ストア数となったら、生産を休止、ストアの空くのを待ち再び生産
  を開始、同期生産を行います)
 ③休止工程の作業者は、他の遅れている工程を応援する
 (助け合いのルールは生産性向上に大きく寄与します)
 ④特急品の処理方法を決める
 (特急品が入ったときの特急ラインを決め、最優先で生産します)
 ⑤生産の遅れ、仕掛の停滞が発生したら、その日のうちに原因を究明し、
  対策する

生産計画は、月単位で行い、前週の金曜日に翌週の生産計画を確定します。
確定後、納期変更、遅れ発生、特急品の飛び込み等が生じた場合、その都度
日程を調整しますが、最初は日単位、半日単位とし、最終的には時間単位で
管理できるようにします。

変更による混乱が生じないよう、毎日、緊急時はその都度、関係者が集まり
日程確認を行います。

以上の改善策実施により以下の効果が期待できます。
 ①リードタイム短縮
 ②仕掛在庫の低減
 ③生産性向上

実際には、リードタイム短縮50%などの目標を掲げ、全社改善活動として
展開します。トップが率先して取り組む姿勢が重要となります。

多品種少量生産では、多能工化は柔軟な生産計画立案に寄与します。また、
遅れ工程を支援する助け合いを可能にし、生産性を高めます。更に長期的
観点で、技術の伝承を進める上では各作業の標準化、マニュアル化も並行
して推進する必要があります。

作業の標準化は、多能工化教育の基礎であり、次のステップとして、標準
時間の設定が可能となり、基準日数の精度アップと、生産性向上の基本デ
ータとして活用が可能になります。

多能工化を進めるには、優秀な人材から進めます。そしてネック工程の多能
工化を優先して進めます。一律に進めるのではなく、目標を設定し、優先順
位を決め重点的に実施します。
また、資格認定制度、表彰制度などの人事制度との連携でモラルアップを図
り、マンネリ化を防ぎます。

以上の改善は決して順調に進むものではなく、何度も壁に阻まれることが予
想されます。全員朝礼、日々の生産会議などコミュニケーションの場を設け
トップ方針を全員に浸透させ解決に当たる良い雰囲気を作りだしていくこと
も重要と思われます。



受注生産工場の生産管理:利益が出るポイント(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説)

近年、ものづくりにおいて多品種少量生産、変種変量生産の傾向がより顕著
に現れてきました。少ない量をより短納期で、しかも安く作らなければなら
ず、日本のものづくり企業はこのような厳しい環境下において、いかに利益
を創出していくかが最大の課題となっています。




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特に対企業をお客様としている、B to B企業においては、大手からの受注
生産を主体に事業を行っていますが、大手からの注文は、やはり多品種少量
変種変量であり、その要求を満たすために、より高度な生産オペレーション
が受注獲得のカギとなっています。

1.生産管理の重要性
生産管理システム(仕組み)は、目に見える生産現場と違って、目に見え
にくいため、なかなか悪さが顕在化しないため、改善の必要性を感じない
場合も多いと考えられます。

特にコンピューターに組み込まれたシステムは、専門家でも一度稼働を始め
てしまうと、手を加えにくく、また何年も経った後に改良を加えようとして
も、すでに当時の担当者が不在となってしまっては、改善は非常に困難を伴い
ます。

また、人間の手作業による様々な処理も、情報伝達、帳票作成など、個人の
スキルに頼っている部分もあり、現状業務の実態や、悪さがどこに潜んでいる
のか、直属の上司でさえ十分に把握できていない場合が多いのです。

ここで、近年のものづくりにおいては、生産管理の仕組みは、工場の中枢の
コントロール機能を果たす重要な役目を果たしているということを、経営者
をはじめ、全員が認識する必要があります。

現場工程の物理的な改善を進めても、効果が上がらず改善活動が衰退している
企業を良く見かけます。

効果を上げるためには、生産工程の物理的改善と同時に、生産管理の仕組み
の改善を実施することで、初めて効果が得られ、工場の利益創出につながる
のです。

2.生産管理の目的
受注した製品の納期や品質、そして価格要求を実際の工場の生産で、いかに
実現するかを考え、コントロールするのが生産管理の役目です。

そのためには、工場の物理的な工程の状況、能力を把握したうえで、工場全体
の「スループット」を最大に高めていくことが生産管理の最大の目的なの
です。スループットは以下の計算式で示します。
 ● スループット=付加価値生産性
 ● スループット=売上高-外部購入費(外注費+材料費)
 ● スループット=利益+作業経費(労務費+減価償却費+光熱費等)

スループットとは、コンピュータが単位時間内に処理できる命令の数や、通信
回線の単位時間あたりの実効転送量などを意味しますが、経営の世界では、製品
を販売して得られるキャッシュから、製品を販売するために投資したキャッシュ
を引いた付加価値額を表します。

もう一つ重要なのが「時間の概念」です。
すべての人間や組織にとって等しく、かつ有限なのが時間です。同じ24時間を
どのように有効に使うかによって企業業績は左右されます。従って、スループ
ットを考えるときに重要なのが、利益に時間の概念を加えた「時間当たりの利益
なのです。

それは、同じ1万円の利益を生み出すにも、1時間で生み出すことが可能なの
か、24時間を必要とするのかを認識しなくてはいけないということです。

 ● 社員1人、1時間当たりの付加価値(労働生産性)
  =売上高-外部購入費 ÷ 【作業者数×実総労働時間】
  =総付加価値額 × (作業者1人当たり生産速度×作業者の稼働率)

3.生産管理部門の役割
スループットを高く維持するためには、生産管理部門の役割として「停滞排除
と、「情報制御」の2つがあげられます。

(1)停滞排除
停滞排除』とは、徹底して停滞時間を排除、削減することによってリードタイ
ムを短くしていき、停滞なくスムーズにモノや情報が流れていく状態を作り
出していくことです。停滞を排除するには、以下のステップで管理を行います。
 ● 自社の標準生産リードタイムを明確にする
 ● 標準リードタイムに基づき、基準日程を作成する
 ● 受注した製品を作るのに必要最小限の原材料を投入する
 ● 生産管理部門は時間レベルの詳細な生産計画を立て進捗を管理する
 ● 調達は内示と納入指示を、調達リードタイムに応じてコントロールする
 ● 生産の平準化を図り、作業待ちや、仕掛在庫が生じないようにする

生産計画を立てる際は基準日程が基本となり、時間レベルで各工程の通過時間
を決め、時間どおりにモノを流していく事になります。

現状多くの会社では日単位の生産計画は作っていても時間レベルでの計画を作
っているところは少ないのです。但し、このレベルの管理ができないと、大幅
なリードタイム短縮、在庫削減、スループット向上は望めません。

また従来の生産方式では各工程の同期性が薄く、各工程間に仕掛りが発生する
場合が多く、特に機械加工工程と組立工程など生産の仕方、設備の利用度合い
が大きく違うところでは生産計画自体も職場単位で作成することが多く、同期
性も必然的に薄くなっており、仕掛りの増大やリードタイムの長期化など数多
くの問題が発生しています。

(2)情報制御
次に『情報制御』とは、情報の流れを強力にコントロールすること、つまり
インプットされた情報やフィードバックされた各種情報を集約、加工し、信頼
でき得る情報として関連部門に提供していくことです。
 ● 各種生産計画立案日(長期計画、月次・週次計画、日程計画)
 ● 長納期品の内示提示日と発注日、納入リードタイム
 ● 短納期品の内示提示日と発注日(納入指示日)、納入リードタイム
 ● 初工程投入日および順序決定日
 ● 各工程の通過時間および日時
 ● 上記計画がタイムリーに更新され、指示が適所に確実に出されていること

4.PDCAの回る管理の仕組みを作る
生産管理の仕組みを改善するには、問題点を明らかにし、継続的に改善を
行っていくPDCAが回る仕組みを構築する必要があります。
 ● 経営者のトップダウンで全社一体となった改善を行う
 ● 他社の模倣をやめ、自社の問題、課題を捉え独自の解決を図る
 ● 課題やその改善結果等が逐次見える管理を行う
 ● 第一線の人材の育成、管理技術の向上を図る

上記のような活動を開始したらすぐに効果が現れるかというとそれは難しく
様々な困難に突き当たるものと考えられます。

やはり実現の為には会社トップの明確なビジョンと意思表示、管理職クラス
の論理的思考が必要で、実務者クラスの行動革新力も不可欠でしょう。

生産管理など計画系の改善と製造現場など実行系の改善が、うまくかみ合う
こと、また、調達系が弱い企業ではこの部分の改善も同時に必要となります。
(但し、調達系の改善には時間がかかる)。

また、多くに企業で問題となっているのは、品質の安定性です。
設計部門、品質部門、工程部門の連携も欠かせません。

中小製造業のMRPシステムの欠点を克服する(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説)

生産管理の目的は、一般に品質の良いものを、より早く、より安く顧客に
提供することです。
そのためには、欲しいものを欲しいときに客先に届ける「ジャストイン
タイム」の仕組みで、顧客の満足度を向上させることが必要です。




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1.現在運用している生産管理システム
生産管理方式は、MRPを主体とするプッシュ方式、カンバン方式で代表さ
れるプル方式の2つに分類されます。但し、各企業の実情に応じて、製番
管理方式、追番管理方式などの補助システムと組み合わせて管理が行われ
ています。

現在最も広く運用されているMRPを主体とした生産管理システムは、長所
・短所を合わせて持ち合わせているため、多品種少量・変種変量生産に適
合させるためには様々な工夫が必要となります。

そこで、すでに運用されているMRPの考え方、MRPを主体としたコンピュ
ータ管理システムが導入されている企業を例に、どのように対処してい
ったらいいのかを以下に整理してみます。

2.MRPシステムの欠点を克服する
(1)MRPの特徴
MRPは、アメリカで開発され、日本語訳では「資材所要量計画」と呼ば
れています。これと対比して、脚光を浴びているのが日本のトヨタで開
発されたカンバン方式です。

MRPの基本ロジックは以下の通りです。
 ①「基本生産計画」の設定、入力
 ② 部品×生産計画台数=「総所要量」計算
 ③在庫を加味して「正味所要量}の決定
 ④不良率、最低発注量などを考慮して「発注量」の決定
 ⑤各工程の着手日を考慮し「発注タイミング」の計算

MRPの特徴として
 ・プッシュ式・・・中央のコンピュータ統制機能により各工程を管理する
 ・計画主導型・・・達成可能な完成計画を立て、それを死守する統制機能
 ・部品表・・・ストラクチャー型部品表を展開し、所要量計算と発注を行う
 ・ジャストインタイムの一貫した工程一元管理のシステム
 ・情報は、正式かつ公式な情報で運用、KKDのあいまい情報では動かない
 ・オーダーリリースの考え方で、リリース後は変更が利かない
 ・独立需要品目、従属需要品目の2つの概念で、基準生産計画が立てられる

など、繰り返し生産が行われ、部品表、基準日程などの各種情報の確度が
高いもの、設計変更が少ないものなど、比較的安定した製品に向いています。

(2)MRPの欠点
 ・情報システム構築が優先し、現場を軽視した管理システムに陥りやすい
 ・製造指示は日単位であり、時間単位のきめ細かなスケジュールは立てられない
 ・一旦オーダーリリースで確定を掛けると、その後の計画の変更ができない
 ・基準情報の正確性を欠くと、仕掛在庫が課題となる、リードタイムが長くなる

など、納期の短いもの、繰り返し生産がないもの、設計変更、納期変更が
多いものなどには、対応し難い性質を持っています。

(3)MRPの欠点を克服する
MRPの欠点を克服し、成功に導くためには、初めから無理とわかっている
「精神論」的な日程計画や負荷計画、KKDに頼った基本情報の入力を行わず
過去の蓄積データに基づいた「手順計画」「負荷計画」「日程計画」を立
てることです。そのポイントとなる項目は以下の通りです。

 ・実現可能な生産計画を立てる
 ・正確な部品表示データーを維持する
 ・入出庫情報の正確な把握
 ・基準情報を甘くしない

ただ、この場合、多品種少量生産、あるいは、変種変量生産では、「でき
る限り」「可能な限り」という条件が付いてしまいます。

従って、この欠点を克服し、自社に最も適したシステム(仕組み)を独自に
開発していくことが極めて重要です。

3.生産管理システム(仕組み)の改善案の検討
現状、実態の調査と数値化、解決すべき問題点・課題が明らかになった
段階で、いよいよ自社の実情に適合した生産管理システム(仕組み)の
設計に入ります。ここでは、コンピュータシステム構築を除いたしくみ
つまり組織・ルール・人材に焦点を当てて検討すべき項目を抽出します。

まず、企業としての生産管理の方針を明確にし、組織・ルールの改善を
進めます。最初にコンピュータシステムの改善から取り掛かると、99%
失敗します。それは理論が先行し、製造現場の実態が軽視されてしまう
からです。

以下に、ポイントとなる改善の項目を解説します。

(1)カップリングポイントをどこに置くか
見込み生産と受注生産の合流点をどこに置くか?すなわち部品で在庫を持
つか、半製品まで見込み生産し在庫を持つかをリードタイムとの兼ね合い
で決めます。

(2)プッシュ式/プル式のどちらにするか
MRPを主体とした、計画型の管理を行うか、カンバン方式を導入するか
あるいは併用するかなど、受注の平準化度、在庫量、リードタイムなど
を考慮して決めます。

(3)製造ラインの物理的改善との同期をどのように図るか
ライン生産、セル生産ラインでの1個流し生産、混流生産などの製造ライ
ンの方式と生産管理方式は、全社の取組みとして、同時進行で検討して
いかなければなりません。

(4)どのような改善目標(指標)を設定するか
生産管理方式の改善は、自社にとって、何のために行うのか?何を改善し
たいのか?を明確にした上で進める必要があります。その場合、自社の課
題や問題点は数値で捉えておくことが必要です。

(5)具体的な仕組みの検討項目
(1)~(4)の生産管理システム(しくみ)の方針・目的及びシステム
の骨格などの基本構想をしっかりと固めておくことが極めて重要な作業と
なります。

将来にわたって、使いやすいシステムが構築できるのかどうかは、基本
構想の良し悪しで決定してしまうのです。

最終ステップとして、細部の仕組みの設計を行います。
細部の仕組みについては、様々な解説書が出ているので、ここでは詳細
説明は割愛します。
重要なのは「基本構想」を実現するにはどうするか?を忘れてはならな
いことです。

 ・生産計画のしくみ
 ・材料所要量計画のしくみ
 ・日程計画のしくみ
 ・材料調達・外注調達のしくみ
 ・作業指示のしくみ
 ・進捗管理のしくみ
 ・フィードバックのしくみ
 ・生産管理組織、人材


生産性向上の意味とは?①受注生産企業における労働生産性向上のポイント

近年「生産性」という言葉は、人手不足や長時間労働への課題意識が高まる
中で注目されるようになっています。また安倍内閣が打ち出した「働き方改革」
でも「労働生産性の向上」は急務とされています。

しかし「生産性」「労働生産性」「付加価値生産性」などという言葉の意味
正しく理解されている方はどのくらいいるでしょうか。

また世界の主要国の中で「日本の労働生産性は低い」と言われていますが、
企業の労働生産性と、国際社会として見る労働生産性は少し違う意味である
ことを知っておく必要があります。




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1.「生産性」とは、投入資源と産出の比率
投入した資源に対して産出の割合が大きいほど、生産性が高いということに
なります。
つまり労働生産性とは「産出(労働の成果)」を「労働量(投入量)」で
割ったもの、言い換えれば「労働者1人あたりが生み出す成果」あるいは
「労働者が1時間で生み出す成果」の指標です。

労働生産性には以下の 2つの種類があります。
(1)物的労働生産性
 「産出」の対象を「生産量」「販売金額」として置いたもの。
  物的労働生産性=生産量(売上額)/労働量

(2)付加価値労働生産性
 「産出」の対象を「付加価値額」として置いたもの。
  付加価値労働生産性=付加価値額(売上額ー外部購入額)/労働量

付加価値額とは企業が新たに生み出した金額的な価値を指すと考えます。
  付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費=売上額ー外部購入額
受注生産工場のTOC&IOT活用による工場改革!1124東京.jpg

2.GDP(国内総生産)から計算される「労働生産性」
国際社会としての「日本の労働生産性」はGDP(国内総生産)から計算されます。
 労働生産性=GDP/就業者数または(就業者数×労働時間)

として計算されており、その結果で「1人あたりGDP」と言うことを表しています。
「日本の労働生産性」が低いというのは、この考え方を基準として言われている
のです。
ちなみに、日本の労働生産性は、OECD加盟35カ国の中でみると20位です。
そして、統計で遡れる1970年以来、主要先進7カ国の中では最下位の状況が続い
ています。

3.企業が労働生産性を上げるためのポイント
企業における労働生産性の向上は、収益性の向上に直結する重要な指標です。
生産性の低い企業でみられる共通点として、仕事の単価が低く、粗利が出にくい
構造になっています。

下の図を見てください。
かつてのパソコン業界では、加工・組立工場では利益率が低い(付加価値が低い)
という傾向があり下請け体質から抜け出すためには、単なる加工・組立だけでなく
事業を上流あるいは下流に拡大して、付加価値業務を増大させ、利益を確保する
とする、いわゆる「スマイルカーブ」の考え方を台湾エイサーのスタン・シー会長
が提唱しました。

スマイルカーブ.png

日本の製造業の現状は、国際的には、自動車、産業機械、部品・材料などで
高い技術力に支えられて利益を上げています。中小企業においても、独自の技術
により、ニッチな市場でオンリーワンの地位を確立している企業は高い利益率を
上げています。

つまり、製品が高く売れれば、一人当たりの付加価値額が増え労働生産性は高く
なります

では、一般的な受注型中小製造業では、労働生産性を高くするにはどうしたら
いいでしょうか?
「残業をなくす」「人を減らす」「経費を削減する」これらは一時的には効果
があるでしょう。しかし本質対策ではありませんね。

②へ続く


DBR(ドラム・バッファー・ロープ)とは?TOC理論による生産性向上対策事例

DBR(ドラム・バッファ・ロープ)はTOC理論の基本的な原理を示してます。
もともと存在する各製造工程の能力差を「ボトルネック工程」と「非ボトル
ネック工程」とに分けて考え、納期を守り、スループットを最大化するために
積極的に活用します。

以下に「ドラム・バッファー・ロープ(DBR)」の仕組みについてします。

ボトルネック工程とは能力が一番弱い工程ですから、停止してしまうと生産
ライン全体のスループットを失ってしまう工程であると同時に、遅れを発生
させる工程です。

非ボトルネック工程は、多少の停止はスループットに影響を与えず、全体の
遅れを吸収する役割を持っている工程と考えるのです。
下図はDBRのイメージです。


ドラムは、ボトルネック工程の生産ペース(速度)に相当し、バッファーは
ボトルネック工程をトラブルや生産の揺らぎから守るために、ボトルネック
工程の前に設置される時間的な余裕(具体的には仕掛かり在庫)を表します。

ロープはボトルネック工程の生産ペースに同期させて、材料を先頭工程に
投入させる仕組みを意味します。

DBR.jpg

工程の途中にボトルネックが出現すると特定の工程に仕掛かりがたまり、
渋滞が始まります。こうなったら、渋滞している工程を特定して、出現
したボトルネックを一刻も早く解消しなければなりません。そのためには
ボトルネック設備の持っている能力をフル活用するための計画を立案します。

そして、改善活動をボトルネック工程に集中的に適用することです。
従来のIE、QC、PM、5S活動などの生産性向上プログラムを上手に併用
することで、いますぐこのリソースのアウトプットを増やす方法はない
のか?ということを徹底して考えることなのです。

要するに工程内にボトルネックが出現すれば、収益を決めるのも、生産
リードタイム、いい換えれば顧客へのサービスレベルを決めているのも
ボトルネックです。

この考え方を実践すれば、多くの場合ボトルネックは解消します。
なぜならば、ボトルネックをフル活用することで隠されていた能力を
数十%という単位で引き出すことができるからです。しかし、それでも
注文をさばけない場合は、外注・追加勤務などをして対処をするか、
投資を伴った能力増強策も考えます。

受注生産工場の利益を飛躍的に向上させるスループット会計管理! 高崎ものづくり技術研究所

従来からの考え方では、生産工程内にあるどこか一部の工程だけの生産効率
を向上させれば、工場全体の利益につながると考えていました。
しかし、実際のキャッシュ(会社の本当の利益)という意味では、必ずしも
そうならない場合が多々あります。




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TOC_制約条件理論.jpg

1.実際のお金の流れを表していない
従来の原価計算に基づく損益計算書の利益計算では、工場のお金の流れを表して
いません。
その原因として、大量生産時代の平準化された生産工程とは異なり、多品種
少量・変量生産プロセスの中で顧客の要求を満足させるために必要な能力は
生産プロセスの中で一番能力の低い工程(制約工程)によって決定されている
にもかかわらず、それ以外の工程の生産効率を向上させることで、収益を
上げようとしているからです。

TOCでは、スループットの最大化が会社の利益最大化につながるとして、会社
の利益を決定している制約(生産能力の場合は一番能力の低い工程)の徹底
活用(最低限の稼働)を行うことで、会社全体(全体最適)での利益を増やす
活動を行います。

 TOC:Theory of Constraints ;制約条件理論

2.スループット会計とは
スループット会計とは、企業の目標を「お金を儲けること」と定義し、
従来の原価計算に基づく損益計算書の利益計算から資金の最大化のため特に
製造業の会計の視点を変えるための会計です。

従来から経営判断に使われている損益計算書は、実際の資金の動きとは異な
っています。
例えば、操業度を上げれば、製造間接費の配賦率が低下する⇒製品単価が下がる
しかし、操業度の増加による在庫の増加となって利益の増加につながりかねません。

一方、在庫増加により資金が寝てしまい、資金が減少するといった損益計算書の
利益と資金のズレが生じます。
このようなズレを解消するためにスループット会計を用います。

3.スループット会計の3つの指標
スループット会計では、以下の3つの指標を用います。
①スループット:販売を通じて入ってくるお金
 =売上-材料費、外注費
 「生産」ではなく、「販売」である点に注意が必要

②在庫:販売しようとする物を購入するために使ったお金(寝ているお金)
 =材料、仕掛品(材料費、外注費)、完成品

③業務費用:在庫を販売するために費やすお金(でていくお金)
 =材料費、外注費以外の全てのコスト、製造原価の人件費、減価償却費等
  の製造間接費、一般管理費も含みます。

以上の3つの指標いずれかを改善するのではなく、スループットを増加させ、
同時に在庫、業務費用の減少を目標としています。

つまり、入ってくるお金を大きくし、寝ているお金、出て行くお金を小さくし
会社に残るお金を大きくしようというものです。
部分最適でなく、全体最適を目指すための会計です。
(ゴールドラット氏の「ザ・ゴール」より)

また、スループット会計を評価軸として、生産工程中のボトルネック(処理能力
が必要な仕事量より小さいリソース)を見つけ、ボトルネックを最大限増加、
活用し、スループットを最大化し、非ボトルネック(処理能力が必要な仕事量
より大きいリソース)のコントロール方法、リードタイムの短縮方法を取るのが
TOCの理論です。


TOCの基本的な考え方:制約条件理論による利益の創出

TOCの基本的な考え方とは、企業共通の目的である、現在から将来に
わたってもうけ続けるために、それを妨げる制約条件(Constraints)
に注目し、改善を進めることによって企業業績に急速な改善をもた
らす手法です。

TOCの開発者であるゴールドラット博士は、工場の生産性はボトル
ネック工程の能力以上は絶対に向上しないという至極当たり前の原理
を提唱しました。

工場の生産性を上げるためにボトルネック工程に同期させる生産を行い、
資材調達もボトルネック工程に同期させるようにした結果、生産性が
飛躍的に高まり、仕掛かり在庫や製品在庫が劇的に減少することを
実証し、それをTOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)と
名付け、普及していったのです。

その後、TOCはその考え方を企業活動全体に広げ、制約条件こそが企業
収益を握る鍵であるととらえ、企業内外のさまざまな活動を制約条件に
着目して分析することが重要であると主張したのです。その結果、TOC
は工場内の改善から企業全体の収益を最大にする経営革新手法に発展し
さらに今日では大規模サプライチェーンのコントロールや営業・マーケ
ティングの領域をもカバーする統合手法となっています。

TOCの最大の特徴は、制約条件こそが、企業のアウトプット(利益)を
増やす鍵と考えることです。工場の全工程、あるいは全社を挙げてさま
ざまな改善活動に取り組む従来の革新活動との最大の違いはここにある
のです。

TOCでは、企業の活動全体もしくはサプライチェーン全体を1本の鎖に
例えて考えています。この場合

「受注 → 原材料入手 → 生産 → 納入 → 請求 → 入金」

という、最終的にお金が企業に入ってくるまでの個々の活動は鎖の輪の
1つ1つに相当し、企業やサプライチェーン全体の収益力は鎖全体の強度
としてとらえることができます。鎖の輪の中に1つだけ弱いものがあれば
鎖全体の強度はその弱い輪の強度と等しくなります。

鎖を切れにくくするには、最も弱い輪を探してそれを強化すればよく、
それ以外の輪の強度を高めても鎖の強度は増しません。これと同様に、
企業やサプライチェーンの生み出す利益は、最も能力の低い活動の制約
を受けるのです。利益を増やすには最も能力の低い活動を強化すべきで
それ以外の活動をいくら強化しても利益には貢献しません。

この最も能力の低い活動に当たるのが「制約条件」なのです。

生産リードタイム短縮と生産性向上はトレードオフの関係

トヨタ生産方式の神髄は、「モノの流れ」を重視し、観察することによって
「モノの流れ」を早くし、その改善のサイクルを早く回すことである。




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トヨタ生産方式は、2つの目標に沿って改善を進める。
それは、①生産性向上と、②生産リードタイムの短縮の二つを達成させる
ことでである。

そのためには、作業の深い観察力と、改善の速度を早くすることが重要と
なる。つまり良いと思った改善を早くやる、早くやることに価値を求めて
いるのである。

製造の管理者や監督者は、パソコンと向かい合っていても工場は良く
ならないし、利益も出ない。その時間があったら、現場で作業を観察する
ことである。

1.体質改善のための指標設定
工場の体質改善を行う場合、生産性向上と、生産リードタイム短縮の指標
を最初に設定する。

なぜ、2つの指標を設定するのか?
それは2つの指標がトレードオフの関係にあるからである。双方の指標を
同時に達成することは難しいが、それを同時に達成することで改善力が
付き、次からの改善が進んでいくのである。

生産リードタイムを短縮するには、製造ロットを小さくする必要がある。
製造ロットを半分にすると、段取り替え回数は倍になる。この段取り替え
時間分の機械停止により、生産高が落ちてくるために生産性は低下する。

生産性を維持するには、段取り時間を半分にする必要がある。このように
2つの指標を同時に達成させることこそ、現場の人づくりを行う絶好の
場と考えるのである。

この活動を通じて、生産性向上は利益に直結し、生産リードタイム短縮は
短納期を実現し、新たな生産の余裕が生じるのである。

2.リードタイム短縮の考え方
モノの流れを早くする手段として、まず製造ロットを半減していく。
同時に1回当たりの段取り替え時間を半減化していく。この活動が生産
リードタイム短縮(仕掛が減り、流れが速くなる)の原動力となる。

この活動では、生産性を一時的に低下させることになるが、同時に生産性
を阻害している問題点を顕在化させてくれる。従って、生産性向上の活動
の前に、生産リードタイム短縮の活動を行うのである。

生産リードタイム短縮のためには、モノの流れを阻害する仕掛品をどんどん
減らしていく。そして段取り替え時間は、初期の1/4を狙いに短縮する。
モノの流れを最も阻害するのは、仕掛品在庫と完成品在庫である。
それにとどまらず、管理者、監督者の緊張感をなくさせ存在感を失わせる
事になる。

3.生産性向上の考え方
生産性向上と、生産リードタイム短縮はトレードオフの関係にあるが、
活動の進展に伴って、融合の関係に移行してくる。
生産性向上の取組みの第一ステップは作業のムダ取りを行っていく。
段取り時間のムダ、機械稼働中の監視作業のムダ、チョコ停、品質不良
材料交換などである。

ムダを省き、付加価値作業の密度を上げていくことが生産性向上につな
がっていくのである。

1つの作業改善を行っても、0.5人分しか減らないのであれば、1人が
必要なことに変わりがない。1人分の作業を減らさなければ省人化は
出来ない。

そして次の段階で、ムダを生じさせない生産計画を立てていく。
日産計画表を作成し、計画を時間軸で指示する。そして、この計画に
対する遅れ・進みの管理を行っていく。

ものづくりの悪さは、全て遅れ(または進み)の中に凝縮されて現れて
来る。

埋もれている利益を現場から掘り出す4つの方策!生産性向上の本当の意味とは?

従来「生産性向上」の名のもとに進められてきた改善は、利益に繋がっ
いるとは言えず、部分的な効率アップの取組であった。

しかし、本当の意味の「生産性向上」は、売上、利益を伸ばすために
実施されるものであって、言わば埋もれている利益を現場から掘り出す
ことにある。




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ここでは、利益を生み出す生産性向上の具体策の手順を解説します。
製造工程改善.jpg

利益を上げるための条件は
 ①売り上げを増やす
 ②人件費を減らす(最低でも現状維持)
 ③社内費用を減らす
 ④外部購入費(外注含む)を減らす

生産性向上とは①~④の対策を工場として総合的に実施することに
なります。工場の利益は、人員を増やさず、いかに短時間で売り上げ
るかに掛かっています。
スループット向上.jpg
では、上の図で具体的に利益を掘り起こしてみましょう。
(1)仕掛在庫を減らす
 改善前:工場全体の仕掛品8個
 改善後:工場全体の仕掛品1個 
 8-1=7個分の仕掛品が減り、売上に計上され、当月利益が増す。

(2)材料在庫を減らす
 改善前:材料倉庫に保管する期間2日
 改善後:材料倉庫に保管する期間1日
 2-1=1日分の材料保管が減り、その分現金が早く回収できる

(3)完成品在庫を減らす
 改善前:完成品倉庫に保管する期間2日
 改善後:完成品倉庫に保管する期間1日
 2-1=1日分の材料保管が減り、その分現金が早く回収できる

(4)生産リードタイムを短縮する
 改善前:リードタイム10日
 改善後:リードタイム6日
 10-6=4日リードタイムが短縮されるので、外注の仕事を社内に
 取り込むことが可能になり外注費用が削減でき、利益が増す。

在庫がなくなり、リードタイムが短縮し、外注の仕事を取り込む
ことで、同じ人員で、生産量が大幅に増加し売上が増加する。
一人当たりの売上高が増すため、労働生産性が高くなる。

利益を出すには、工場全体の流れを良くし、滞留をなくすことです。
段取り改善などの部分的な効率化だけでは効果は得られません。

モノの流れを良くするための工夫、情報の流れを得するための工夫
そして、不良を出さないための工夫を日常的に行っていくことが
重要です。

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現場から利益を掘り起こす視点とは?

利益を生み出す現場の「生産性向上」の対策手順(赤字転落した工場の緊急対策とは?)

従来生産性向上の名のもとに進められてきた改善は、工程単位/設備単位の
効率化・稼働率向上であり、部分最適の考え方であった。

しかし、生産性向上は、売上、利益を伸ばすために改善を実施するのであって
部分的な改善に留まるのではなく、工場全体(職場間連携)/流れを作る
/仕掛在庫(滞留)削減などの「全体最適化」が目的となります。




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ここでは、全体最適化のための、生産性向上対策の概要と手順を解説します。
下の図のように、昨年度は利益が出ていたが、今年度は赤字に転落しました。
赤字を解消し、黒字に回復させるには、売上高の伸びがすぐに期待できない
場合、どうしたらいいでしょうか?
製造工程改善.jpg

黒字化の条件は
 ①売り上げを増やす
 ②人件費を減らす
 ③外部購入費(外注含む)を減らす

この3つの方法となります。
そうすると、売上の伸びが期待できないとすると、人件費を減らす
および外部購入費(材料費、外注費)を減らすしかありません。

1.現状調査
そこでまず、工場の実態を調査します。
(1)人員と就業時間、人件費を正確に把握する(月単位で)
 ①正規従業員数(直接間接含む)と人件費総額
   構内派遣外注人数と人件費総額、パート社員人数と人件費総額
   職種別(作業別)人員把握
 ②就業時間(定時内+残業)を把握する(月単位で)
   正規社員、構内外注、パート別の内訳別

(2)社外外注費を把握
  外注費用と、その仕事を社内に引き上げ可能かどうか検討する

2.目標設定
生産性向上の意味は、仕事を効率化して人を減らすこと(省人化)で
あり省人化を伴わない業務改善とは、目的・手法が異なる。
  
赤字解消する人件費の削減額から省人化の人数を決定する
 何人減らせば、いくらの費用が浮くかを計算し目標値を設定する。
 その際に、
 ①残業時間を減らす
 ②アルバイト、パート・派遣社員を減らす
 ③正規社員は極力減らさない

30%の人件費を削減して生産性向上を狙うとして
(総人数×年間総労働時間×人件費)×0.7=(赤字解消額?)

赤字解消可能な金額からその時の人員数を算出する。

3.生産性向上対策の進め方のステップ
STEP1:目標に沿って、残業時間の削減、構内外注、パート社員の削減を
 実施する。
 人員が減った分は、正規社員が応援体制を取る(直接員、場合によって
 間接員も対象)、また社外外注は社内へ引き上げる

STEP2:上記生産性向上の目的・方針を全社員に説明、目標を立て、毎月の
 成果を見えるようにする。
 そのことで社員の危機感が増し、改革の必要性を肌で感じるようになる。
 また、成果により達成感を全員で共有できる

STEP3:緊急策としての現場改善の主な項目は以下の通り
 ①流れを見える化する
  機械の移動は制限があるので、品物の流れを見える化する

 ②製品種類ごとにラインを固定する
  品種ごとに工程を固定化する(決まったルートを通る)

 ③標準リードターム設定と短縮化目標設定
  品種ごとに標準リードタイムを設定する(例:現状の30%短縮)
  同時にロットサイズを小さくし、負荷の平準化を図る
  (1000→500→200)

 ④生産計画
  標準リードタイムを基準に生産計画を立て、遅れ進みの見える化
  を行う

 ④応援体制
  ルールを決めて仕事量に応じた人員配置を行う(固定化はやめる)

 ⑤進捗管理の見える化と遅れの対策(究極は時間単位の管理)
  遅れが生じた場合、原因を追究しその日のうちに対策する
 (現場ミーティング)
スループット向上.jpg
赤字が解消する目途が立ったら、次に中長期の計画を立てて
売上高、利益の増大のための計画を立てます。
 ①一人作業(多能工化)
 ②小ロット化
 ③段取り時間短縮(シングル段取り)
 ④ネック工程能力アップ
 ⑤生産計画と生産管理の改善
 ⑥品質改善
 ⑦教育訓練のしくみ
 ⑧新製品の受注

生産性向上(省人化)の狙いは、生産キャパを増やし、新しい仕事を
取り込む、省人化により余力が生じた人員を、より付加価値の高い
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