2019年01月01日

キーワード解説:中小製造業の業務改革

【INDEX】

【キーワード解説】
ここでの解説は、従来から行われている職場改善活動(小集団活動)とは異なる
活動を指します。

改善活動の取り組みの中身が、職場の整理整頓の徹底や単純ミスを防止するため
の声掛け運動など、経営者から見て、期待していた業務改善とはかけ離れた小ぶり
なものばかりという例が多く見られます。

トップから見て、会社が変わるためにはもう少し大きなインパクトのある改善を
望んでいるが、なかなかそのような動きが出てこないのはなぜだろうか?

現場で起きている作業効率等の身近な問題については解決策もすぐに浮かび実行
に移すことはできる。ところが現場のメンバーにとって、本当に解決したいと
思っていることというのは「上位管理職層のマネジメントのあり方」や「経営方針
、他部門との連携」といった自分たちには手の出しようのないところにある。
あるいは手が出ないと感じている。

現場のメンバーはそれらの問題は対象外ということで議題にもあげず、自分たちで
できる範囲のことだけに問題を絞って議論を進めていき、その結果、課題は小ぶり
なものになり、できることはやりつつも、本来解決すべき課題は、先送りにしている
という現実がある。

では、そこをどのように解決していけば良いだろうか?

2019年 製造業の業務改革3つの柱と改革活動の手順

中小企業が、継続して成長を続けていくための「製造業改革3つの柱」を提唱
します。

日常表面化している見かけの問題を処理するのではなく、その問題を引き起こ
している管理のしくみの問題に切り込んで、解決を図っていくことが重要ですが
そのためには、現場における物事の見方や、考え方を正しく理解する必要があり
前提として、リーダークラスの実践的な教育訓練が欠かせません。

経営の立場からは、人材育成は「仕事をすぐに覚えるために」といった目先の目的
で行うものではなく、「会社の将来を見据えて、5年後、10年後にこうなりたい
というビジョンを描き、そのためにはこんな人材が必要で、いつまでにこんな能力
を身につけて欲しい」という会社としての目標に沿って進められるべきです。

企業にとって一番大切な「人財」をどのように育成していくのか、少子高齢化の
日本における最大の課題であることは間違いありません。

1.製造業改革3つの柱
 ★現場リーダーを「プロ人材」に鍛え上げる!!
  プロ人材とは、課題を発見し、その課題に対して解決の道筋をたて、その
  道筋に沿って部門を超えた連携ができる人材のこと

 ★受け身の品質管理から、攻めの品質管理へ!!
  発生した問題の処理(モグラたたき)から、潜在する問題・課題を解決する
  攻めの品質管理へ脱皮する

 ★業務効率化より高付加価値業務へシフト!!
  効果の薄い部分的な業務改善活動から脱皮、流れ生産、在庫削減で受注リード
  タイム短縮。付加価値業務拡大で生産性向上を図る   

2.業務改革の手順
(1)なぜ改善が必要か?(現場リーダーに対する動機づけ)
売り上げ、利益を飛躍的に高めるためには、現状の延長線での生産を続けても
達成できない。現場を一番よく理解している、第一線の現場リーダーがそのこと
を理解し、中心となって工場を改革していく必要がある。 

そのためには、工場の生産活動の目的とは何か?、生産性向上、リードタイム
短縮の必要性の理解、様々なムダに気付き、それを排除していくことが必要で
あることを理解させる。

(2)個別の作業改善ではなく、工場全体に目を向け生産性向上を目指す
  (方向性の明示)
職場ごとの作業改善、5S活動のみでは目に見える効果は期待できない。
工場全体としての、受注~出荷までのリードタイム短縮、生産性(スループット)
向上を目指さなければならない。(目標設定:いつまでにどれくらい)
・完成品在庫の削減
・仕掛在庫の削減
・作業の無駄の排除
・製造工程リードタイムの短縮
・内製化促進
・段取り時間短縮

などが改善項目となるが、そのためには管理のしくみの不備を指摘し改善しなけれ
ばならない。

(3)具体的改善手法について(基本的な理論、手法の習得)
・制約条件理論による生産管理
・製造ロットの分割(平準化)
・生産計画と作業進捗管理
・仕掛在庫/製品在庫の管理
・作業改善
・省人化
・機械の保守、メンテナンス
・段取り作業時間の短縮(外段取り化)
・運搬作業の効率化、置き場の明確化
・多能工化訓練
・不良対策、ヒューマンエラー対策
・標準化、ルール化
・日常作業管理
・業務改善活動の進め方
・その他

以上(1)項~(3)項は、改善活動に入る前の準備期間としてオリジナルテキスト
による講習会と事例演習実施にて取り組みの趣旨を十分に理解する(2~3回程度)
そのうえで、実際の業務で以下の(4)項(5)項に順次取り組んでいく。
(1ステップ、6カ月程度)

(4)工程、作業の見える化(定量化)と攻めどころの設定
 (現状把握と目標とのギャップ)
(1)項~(3)項を充分理解した上で現状調査、改善活動に取り掛かる。
生産状況を数値で捉え(指標化)、どこがネックとなっているのかを定量的に
明らかにする。そのうえで、どこに課題があるかを捉え、攻めどころを設定する。
・生産性実績
・在庫実績
・リードタイム実績
・品質実績、不良対策書
・手順書、記録
・設備リスト、レイアウト
・その他

(5)改善計画と実施(定期的達成度の把握)
攻めどころに対して、どのような対策を講じていくのか、5WIHを明確にして
PDCAを回すためのしくみを構築する。

①改善活動の枠組み設定
・改善組織、リーダ、メンバ
・活動期間
・活動方法

②活動
・活動開始、経過、効果の記録
・定期レビュー実施
・活動計画書、実績報告書・・・

詳細についてのご質問は下記フォームでお問い合わせください。

製造業の業務改革の進め方:成長する組織の考え方と行動とは?

工場の業務改革を進め、効果を出すのは一朝一夕には実現が困難です。
そこで、近い将来、会社の目指す目標に向かって成長する組織の考え方と行動
とはどのようなものか?について考えてみます。

私は、ある事例を知っていますが、1年間コンサル会社のスタッフが4名工場に
入って改善を進め、リードタイムを短縮しました。コンサル会社に支払った金額
は億の単位です。しかし、その後しばらくして環境の変化に追従できずに、たち
まち改善前の状態に戻ってしまいました。

この教訓から私はまずやるべきことは、目の前の品質問題の解決を通じて、社員
に継続的改善の基本的な動きを身に付けさせることだと思います。
時間がないから改善する余裕がないという考え方から、毎日の業務活動そのもの
品質改善活動として実施され、一つづつ問題が解決されていく風土を作り上げ
ていく、これが最も理想とする成長する組織の姿だと思います。

QCサークル活動の様に、業務とは別の活動となることは避けるべきです。それ
には社員の日常業務に対する意識改革、行動改革が必要ということです。
それともう一つ、そのような社員の活動がやりやすい環境づくりを経営トップが
協力し、作り上げていく必要があると考えています。

その活動は、品質問題に限らず工場のあらゆる問題の解決に結びつくものと思い
ます。1日、1週間、1か月でできることは限られていますが、半年、1年の継続は
金なりといいます。1人でできることは限られますが、結束すれば何倍もの力に
なり、アイデアも沸いてきます。

正しく目標を定め、先人の培った最も効果的な方法を参考に「継続」と「結束」に
よって創造力を発揮し、着実に前進していくこと。

製造業にとって今こそこのような考え方が必要ではないでしょうか?

経営者を責めても会社は良くならない!業務改革を成功させるとっておきの「ツール」とは?

会社を改革し、これから良くしていこうとするとき、経営者のマネジメント能力
だけに期待するのは難しい。今まで会社を引っ張ってきたやり方を、ここで180度
転換させることはほとんど期待できない。

だとしたら、社員一人一人、どのように改善に取り組んでいくべきか?

まず、現場を一番よく知っているのは現場で実務に携わっている社員であること
を自覚すべきだ。経営者は方針は立てても、現場は何が課題なのか?具体的に
どう改善を進めればいいのか?はわからないし、具体的な指示はできない。
それは現場の人間が一番よくわかっているはずであり、上からの指示を待っていて
も、いつまでたっても解決に向かっていくことはない。

しかし、現状のどこを見直せば、一層の効果が上がるのかが分かっていても、
自分の業務範囲内で解決できないことも数多く存在する。自分たちで試行錯誤し
頑張ってみても解決しない場合、たいていはそこであきらめてしまう。
「組織間の壁」や「上司やトップの無理解」に突き当たり、「やってもムダ」
と考えてしまう
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自職場だけでは解決できない課題は、共同で改善に当たらなければならない。しかし、
課題はわかっていても、ではどうやって共同で解決して行ったらいいのか分からない。
ここが一番の問題なのである。

まず、今の現場管理者・監督層にはそこまで求められる時代になっていることを自覚
すべきである。つまり、受け身の体質から抜け出さなければ、改善は進まず、そして
自分たちの未来もない。

冒頭で述べた通り、経営者は実務上の課題はわかっていないのだから、何らかの
方法で分かってもらう努力が必要なのだ。また、経営者も社員の課題を吸い上げる
ためのツールを用意しなければならない。
 ①まず、自分たちで解決に当たり、試行錯誤を繰り返す
 ②解決できない場合、上司や他の部署に相談し協力を求める
 ③費用面や人材面で課題がある場合は経営TOPに判断をゆだねる

一般の企業では、②、③の手段がないために、①で終わってしまうケースが非常
に多い。

そこで、業務改善活動の枠組みの中に、「コミュニケーションツール」を設けて
おくことが重要なポイントとなる。
部署間にまたがる問題、設備や人など経営判断が必要な問題が発生した場合タイム
リーに解決するためのツールとして
 ①問題発生時に、現場ミーティングを行うための環境の整備
  ・問題の場所に関係者がすぐ集まれるルール
  ・スタンディングミーティングのルール(立ったまま、30分以内で行う会議)
 ②活動の進捗を定期的にレビューする
  ・業務改善の結果だけを報告するのではなく、ポイント、ポイントで経過を報告
  ・目標値の定量化と現状を数値で捉えギャップを明確にする

つまり、結果管理ではなく、途中経過におけるコミュニケーションの密度を高め
「経営でできること」「部署間の協同でできること」「自職場でできること」を
明確に振り分けることが業務改善活動のおける最も重要なポイントと言える。

製造業の事例:日常業務の問題がなぜ解決しないのか?工場の業務改善の進め方

日常発生する問題が放置されたまま、なぜ解決しないのか?工場の業務改善が
なぜ進まないのか?ここでは、多くの中小企業が抱える問題点を明らかにし、
解決策を探っていきます。

そこで、ある工場の事例を取り上げて見たいと思います。

■ 例えば、品質問題として
客先から、納入品の加工不良を指摘され、再確認作業、修理作業が生じ、多く
の時間を費やしているため、それを見込んで、はじめから注文数より多めに製作
しているため、ムダが生じている。

顧客から要求があるときはQC工程図は作成するが、そのほかの製品は作成して
いない。一応社内に作業標準、検査基準はあるがすべての製品を網羅している
訳ではない。

■ また生産ラインの問題として
生産リードタイムが長い、不動在庫(長期在庫)多い、在庫、仕掛品の保管場所
は決まっておらず、担当者任せ、担当者以外はどこに対象の製品を保管している
かがわからない、捜すのに時間が掛かる。

間接業務に関して、情報の共有がされておらず、個人の力量にも差があるため
管理業務の標準化を行って作業を効率化を図って行きたい。業務マニュアル
の作成、業務の見える化などの必要性を感じているがほとんど進んでいない。

社員は40人ほどの車関係部品を受注加工生産を行っている企業ですが、何が
問題で、どこから手を付けていき、どのように解決していけば良いでしょうか?

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■この企業の共通した問題点
上記の状況からこの企業の共通した問題点を列挙してみます。
(1)もちろん問題であることは、経営者、工場長、そしてリーダークラスの
 社員 はわかっている。しかし、忙しい、スタッフがいない、どこから手を
 付けて いけば良いかわからないといった悩みを抱えている。

(2)定期的に工場長やリーダクラスが集まって、問題点解決のための会合を
 開いているが、5S改善などのすぐに手を付けることが可能な小改善の実施に
 留まっている。

(3)品質管理、生産管理、工程の改善手法などを体系的に学んだことはなく
 また、積極的に学んでいこうとする姿勢も弱い。

(4)経営者は、売上を飛躍的に増加し、近い将来経営規模を拡大したいと考え
 ている。しかし現状をどう打開し、改革を進めていけば良いか?わからない
 状況が続いている。

(5)外部から講師やコンサルタントを招いたこともあるが、受け身の姿勢に終始
 し、自らのアイデアを出して改善する、周囲の協力を得ながら、会社を良くして
 行こうとする自発的行動が見られない。

上記の様に、一般的な中小企業では、人材、資金、情報、時間などの制約の中で
改革が進まないというのが実態です。

そこで、次回解説より具体的、実践的な解決策を提案していきますので、期待
して頂きたいと思います。
  

業務改善がうまくいかない2つの理由とは?(ある企業の事例)

業務改善を行っているが、必ずしもうまく進んでいない企業は意外と多い。
ある企業の事例を基にその原因を探ってみよう。

1.改善活動のしくみ導入
ある中小製造業C社の社長は、ますます競争が激しくなる業界の中で生き残るため
「わが社は今すぐ変わらなければならない」という強い危機感を持っていた。
そして、社長自身が推進責任者となって、新規受注の獲得、業務プロセスの改善
人材育成の3本を柱とした改革プロジェクトを立ち上げた。

その中の業務プロセスの改善については各部署から中心となるプロジェクトメンバー
が集められ、改善活動の仕組みを構築し、改善活動の導入を行った。

導入の流れとしては、まずスタート段階ではモデル業務を設定し試行的に仕組み
を取り入れ、その後、全社展開を図るというものだった。

このような流れで業務プロセスの改善を行っていこうとしていたプロジェクトの
中心メンバーの中で、実は一つ心配があった。それは過去にも同様な活動を行って
きた経験から、このまま仕組みだけを現場に落としても、現場がやらされ感の中
で言われたことしかやらないのではないかということだった。

本来、業務改善などは上からの指示がなくても社員自身が自分で考え解決できる
ようにならなければならない。中心メンバーは、そういった組織の受身体質の課題
も同時に解決すべく、他社が行った改革の成功事例などを参考にしながら、
改革への取り組み指針の策定」、「現場の中で議論を円滑に進めるためのメンバー
の養成腹を割って何でも話せるミーティング手法の導入」なども業務プロセス
の改善の仕組みに取り入れた。

2.形骸化していく各活動と社長向け成果発表会とのズレ
C社では、業務プロセス改善プロジェクトが全社展開された後、四半期に一度、全
部署ら改善活動に携わるメンバーが集まり、これまでの活動内容、活動に対する
成果、次へのステップ等を社長あてに報告するための成果発表会が開催されていた。

C社では、こういった社内の組織横断的な形式でのプロジェクトがなかったためか
最初の1年程度は、各チームとも大変議論が盛り上がり、改善すべき課題も明確に
なっていた。また実際に、いくつかのチームでは、システム開発の作業効率化や
無駄な工数の削減など具体的な成果も出始めていたことから、発表会を聞いて
いた社長と中心メンバーは一定の手応えを感じていた。

しかし、その後しばらくして、順調に進んでいたかと思われていた改善活動の様子
が少しずつ変わり始めていった。
発表の中身は各チームそれぞれに違いがあり、進捗具合も千差万別ではあったが、
1年前にあった活動初期のころの盛り上がりがすっかりなくなり、発表者のプレゼン
も熱が入っていない。どこのチームも発表内容が非常にきれいにまとまってはいるが
「いついつまでに何をやりました。次回いつまでにこの作業に取りかかります」
というようにどことなく機械的に進められているように見受けられた。

さらに社長が感じたのが、取り組みの中身が、職場の整理整頓の徹底や単純ミスを
防止するための声掛け運動など、社長が期待していた業務改善とはかけ離れた小ぶり
なものばかりであるということだった。社長自身は決して焦っているわけではなか
ったのだが、会社が変わるためにはもう少し大きなインパクトのある改善を望んで
いた。

プロジェクトの先行きを心配していた中心メンバーたちだが、その中の一人が
「現場は一体どういう状況なのか自分が少し探りを入れる」ということで、実際
に活動に参加している同期の仲間に状況を聞いてみた。そこから見えてきたのは
まさに中心メンバーが恐れていた活動の形骸化というものだった。

同期の話によると、確かに、プロジェクト開始当初は皆新鮮さを感じて盛り上が
っていったが、議論を重ねるうちに、問題点を選別し始めたという。

どういうことかというと、現場で起きている作業効率等の身近な問題については
解決策もすぐに浮かび実行に移すことはできた。ところが現場のメンバーにとっ
て、本当に解決したいと思っていることというのは「上位管理職層のマネジメント
のあり方」や「経営方針、他部門との連携」といった自分たちには手の出しよう
のないところにあった。しかし、現場のメンバーはそれらの問題は対象外という
ことで議題にもあげず、自分たちでできる範囲のことだけに問題を絞って議論を
進めていった。

その結果、課題は小ぶりなものになり、できることはやりつつも、次第に議論は
低迷していき、ただでさえ目の前の数字や日常業務で忙しい中、進展が期待でき
ない議論には参加したくないということで欠席するメンバーも増えていった。

3.改善活動が形骸化してしまった2つの背景
1つめは、改革活動スタート時に、社長と中心メンバーが策定した「取り組みの
指針」にある。
この指針には社長と中心メンバーが、改善活動がやらされ感で進まないように
するために、「期限や目標設定、取り組みテーマなど細かい部分については現場
の判断に任せる」「現場の部長以上のマネジメントが細かい関与をしないこと
といったことが書かれていた。あまり細かい制約を設けず、現場が自律的に考え
行動してほしいということを基本方針として活動を展開したかったのだ。

しかしその結果、現場は自分たちで考えたやり方で進めたのはよかったのだが、
自分たちの責任や権限の範囲以外にある経営課題や他部門が絡む問題は避けて、
自分たちでできる範囲の問題だけを選んでしまっていたのだ。そして、現場の
意識の中には、「自分たちとしてできることをやったとしても、経営や他部門の
問題が解決しない限り会社全体は何も変わらない」という思いがあり、取り組み
への思いが次第に薄れていってしまったのだ。

仮に経営課題や他部門に絡む問題に関しても、プロジェクトの中心メンバーや
事務局あてに積極的に問題提起をすることなどを明記しておけば、少しは形骸化
を防げたのではないだろうか。

2つめが、業務プロセスの改善というものが日常の業務とは切り離して取り組まれ
たことにある。業務プロセスの改善という別枠のプロジェクトを立ち上げた時点
ですでに、「本業とは別の活動」という意識が芽生えてしまったことも一つだが
業務プロセス改善以外に経営計画の目標達成や人事評価制度の変更というのも
社員の頭の中では常に本業とは直接関係のないものとして存在している。

その結果、業務プロセス改善の活動自体の優先順位はそれほど高いものではなく
社員自身にとっては自分自身の評価に直結する業務への優先度が高くなっていった。
そして、形骸化してしまった1つめの理由と合わせて「自分たちでできることは
全てやった、本業も忙しいので業務プロセスの改善活動はこれで終わらせよう」
という流れを作ってしまったのだ。

結局のところ、C社ではいろいろな改革のテーマが立ち上がったことにより、社員
たちにとっては何が重要で、何の優先度が低いのかが判断できない状況でした。
自分たちが変わらなければ」という目的だけは全員の共通の思いとしてあったが
「変わらなければ」という目的だけではさまざまな課題の中で優先順位を付ける
ことは判断できない。

「変わらなければ」という目的が「何か変えよう」「できることはやってみよう」
といった判断基準にすり替わっていき優先順位の定まらないまさに「部分最適」
のオンパレードを引き起こしてしまったのだ。

4.重要なのは改革の先にある明確なビジョンを持つこと
さまざまな取り組みが同時並行に行われ、次第に形骸化し、改革どころか元の状態
に戻ってしまいそうな状況にあるC社だが、それではこの後C社が立て直しを図る
ためにどのように改革を進めればよいのだろうか。

まずは、経営者として、これまでの改革がうまくいかなかったということを素直に
受け止め、そのことを社員に真摯に伝えることが必要だ。実はこのプロセスを踏ま
ないと、次に何かの取り組みを行おうとしても必ず失敗する。

改革がうまくいっていないことは経営者よりも現場の社員のほうがより敏感に感じ
取っている。そういう状況の中で、過去の失敗を認めずに次に何かやろうとすると
社員は経営者に不信感を抱く。そして、信用がない状態の中で、改めて改革を宣言
しても、社員はもはやついてこようとはしない。

まずは経営と現場の信頼関係を修復するために、勇気を持って、これまでの失敗
を認め、そして、なぜ失敗だったのかを社員全員に真摯に伝えることがとても重要
事なのだ。

次に、「変わること」自体が目的にならないように、改革の先にあるビジョンや
目的を明確にし、それを判断基準として、これまで取り組んできた各活動をいったん
取りやめ、明確になったビジョンや目的と照らし合わせて、何に絞って取り組む
べきか選択と集中を図ることが必要になる。

C社の場合は、実は中期経営計画の中で「営業利益の5%達成」という明確な指針
があった。ただ5%を実現するための具体的な戦略はなく、さらに「営業利益の
5%達成」という目標とは別に、社員の目的意識をブレさせるような他の目標が
いくつかあった。「社員がいきいきと働ける会社」「顧客指向が当たり前となって
いる会社」「永続企業として社会貢献する会社」といったような極めて抽象的な
目標らしきものがあり、社員の頭の中には、どこに向かうかの明確な指針はなか
った

もともと、経営方針を策定するにあたって、社長自身が一番実現したかったことが
この「営業利益5%達成」だった。ところが、他の経営陣からは、「それでは夢が
ない」「社会貢献や社員の満足度も考慮すべきだ」などさまざまな意見がある中で
非常に不明瞭な方針となってしまっていた。

これでは、現場の社員は何に集中して取り組んでいけばよいのか判断がつかない。
また、これまでと同じように失敗を繰り返しかねない。同じ失敗を繰り返さない
ようにするためにも、方針として「営業利益の5%達成」に絞らなければならない

まずは、全社員が一体となって行動を起こすべく、経営トップの権限と責任のもと
で、「営業利益の5%達成」の1点に目的意識を集中させることが必要なのだ。
そして、この明確な方向性を判断基準として、それを実現するための戦略と課題を
洗い出すことが必要だ。
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中小製造業 業務改善の目的とは?(会社のQCD改善、生産性向上へつなげるには)

人手不足が叫ばれる中、工場ではIT技術導入で効率化を図る一方で、社員一人
一人の生産性を向上させなければならない。
しかし、QCサークル活動の様に、部分的な改善では、会社全体の生産性は向上
しない。では、業務改善活動はどのように行っていけば良いだろうか?


1.業務改善が必要な背景
今、業務改善の必要性が叫ばれている。
その背景には、人口減少社会の進行と働き方改革の2点が考えられ、AI,IOTの
導入や、業務改善をはじめとした生産性向上に取り組まなければ、日本の経済
成長に深刻な影響を与えかねないという考えが浸透し、会社にとっても大きな
課題として認識されていると考えられる。

また、中小製造業に目を転じれば、国内受注額の減少、顧客の高度な品質要求
多品種小ロット受注生産など、人手不足の中で生産性をいかに高めて利益を捻出
していくかが課題となっている。

では、業務改善活動とはどのような活動を指すのであろうか?

(1)経費・業務削減との違い
業務改善と似た経営課題に、経費・業務削減がある。
経費削減はコストにのみ着目し、通信費や光熱費、オフィスの賃料などを対象に
した削減策で、財務知識を有していれば、どの会社においても共通して実施できる
ため、多くの会社が実践しています。一方で、業務削減は業務上に必要とされる
コミュニケーションやコスト、作業効率全てが削減の対象となり、経営資源である
ヒト、モノ、カネを総合的に見直す削減策です。

しかし、業務改善は自社が属する業界や社内の業務プロセスによって、改善策が
異なり、問題提議を行なってはじめて、問題や課題点が明らかとなるため、経費
・業務削減と区別して考えなければならない。また、目的や目標、改善策、実行
計画の精度が低いと、本質的な解決策にならないことも多く、適切なプロセス化
が必要となる。

(2)BPR(業務改革)との違い
BPR(業務改革)とは、会社の掲げる目標を達成するために、企業活動や組織構造
を全面的に見直し、再設計を行なう業務プロセス改革を指す。BPRは、部分的な
業務プロセスではなく、会社に所属する事業部門全てを対象とした再統合または
最適化を図る。経営コンセプトや産業構造、ビジネスルールなども対象となる
抜本的な組織改革のひとつであり、商品(製品)・サービスの品質向上や生産性
向上、コスト削減といった部分的な業務の改善策である業務改善とは異る。

業務改善は業務に従事する現場の社員が中心となって、現状分析・問題提起を行い
問題の分析および改善方法の立案、実行、評価を行ない、会社の売上・利益に直結
しやすい業務改善はさまざまな目的で実施される。

2.業務改善の目的
(1)生産性向上と効率化
業務改善の多くが、組織や従業員の生産性向上と業務の効率化を目的として実施
される。業務のシステム化や設備投資を行うことで、単純作業を簡略化・効率化し
余剰時間を使って、売上・利益に直結する付加価値業務への注力が可能となる。

また、業務の「選択と集中」は会社の業績に直結し、組織の生産性向上にもつな
がる。さらに、業務改善は経営資源(ヒト、モノ、カネ)を定量的に考察し、
具体的な目標数値を算出した上で、改善策に取り組むことができるため、従業員
の業務の効率化や意識改革を目的に実施される。

(2)品質向上とコスト削減
業務改善は商品・サービスの品質向上とコスト削減の効果を生み出しやすい施策
のひとつで、多くの会社が商品・サービスの品質向上とコスト削減を目的に、試行
錯誤を行い、日々業務改善に取り組んでいる。

経費削減や業務削減といった直接的・短期的なコスト削減は、商品・サービスの
品質や企業間競争力を低下させる可能性が考えられ、長期的な品質向上とコスト
削減には不向きといえる。業務改善は、顧客満足度向上やサービス機能の強化を
目的とした業務の見直し(システム化や新機器の導入)と継続的な改善が実行
できるため、中長期的な品質向上とコスト削減策が実現できる。

(3)労働環境の改善
業務改善を労働環境の改善に実施する企業も増えている。
業務の負担軽減は、従業員の裁量や能力で一定程度軽減できるが、中長期的
・継続的に実施し続けることは難しいといえる。業務改善は、業務内容を
「見える化」し業務の集約や設備投資を行うことで、従業員の業務負担を劇的に
削減・軽減できる。
その結果、従業員は売上・利益に直結する業務に集中でき、長時間労働の是正や
時間外労働の防止にもつながる。
また業務改善は、直接的な業務の他にもコミュニケーションの促進や業務のマン
ネリ化防止まで対象を広げられるため、社員満足度の向上も期待できる。

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製造業の事例:課題解決のためのチーム作りとは?工場の業務改善の進め方

前回の解説では、日常発生する問題が放置されたまま、なぜ解決しないのか?
工場の業務改善がなぜ進まないのか?多くの中小企業が抱える問題点を指摘
しました。

では、人、時間、資金に限りがある中小企業では、どのような解決策がある
でしょうか?以下に、課題解決のための手順を示します。

キーワードとなるのは、能力を最大限発揮できるチーム作りです。
人の能力は無限であり、同じ目的のために意思統一されたチーム(組織)に
よって更に何倍もの力を発揮することができます。

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1.「あるべき姿」と「課題」の形成
社長や工場長の役割として、「あるべき姿」の明示と「課題形成」があります。
どれだけあるべき姿に近づけられるかは、何が課題なのかを発見することが必要
になります。こうあるべきであるという理想像と、現状との差を縮めていく過程
においてスタッフを育成し、チーム力を高める根本的な考え方になります。

2.課題に取り組む「動機づけ」を行う
社長はスタッフが課題に対して積極的に取り組むための「動機」を用意します。
「自ずから」学習し、技術アップの実践研修に取り組むことが重要です。
品質管理や生産管理の基礎、現場改善手法など実践的な技法について学ぶ機会を
用意します。(社内研修、外部講習会など)

そして、日々コミュニケーションを活発化させ、モチベーションアップを図る
こと求められます。動機づけによって、自立したスタッフになることが最終
目標です。

3.課題を解決し、組織を活性化するポイント
業務遂行上の課題を解説し、組織を活性化するためには、コーチングの技法を
活用し、ミーティング手法を改善してスタッフの意識を高めることも重要です。
また、目標管理制度を導入することにより、業務遂行上不足している項目を
明確にし目標達成のための取り組みが必要です。


(1)ミーティングの目的とは
コーチングを社内ミーティングと融合させ、チームとしてのレベルアップを図る
ことが社内全体の活性化につながります。

社内ミーティングによって社長、工場長とスタッフがうまくコミュニケーション
が取れ、「伝える」「相談」「指示・指導」「協議」し、結果を出すことにより
経営も変わります。

社内ミーティングは、目的に応じてさまざまなタイプの方法を使い分ける必要が
あります。
 ・情報交換・・・朝礼、全体集会
 ・チームワークの強化・・・朝礼、現場ミーティング
 ・相互理解・・・朝礼、現場ミーティング
 ・コミュニケーション強化・・・現場ミーティング、グループチャット
 ・意思決定・・・定例生産会議、品質会議、進捗レビュー会議
 ・問題解決・・・朝会、現場ミーティング

ミーティングが目標の共有化や改善に取り組むきっかけとなり、その結果、スタッフ
の意識向上と好業績につなげることが可能となります。

(2)コーチングを取り入れたミーティング
コーチングを取り入れた社内ミーティングにより、個々のメンバーの成長が組織
全体の成長につながることになります。スタッフ全員の意見を引き出し、メンバー
全体が自身から望んで取り組むという意識になれるように導いていくものです。

社長は、自分の意見と異なるメンバーの発言を肯定することからはじめます。
 ・問題点列挙と絞り込み
 ・問題点背景の絞り込み
 ・解決策の検討
 ・行動計画の策定と共有化

ミーティングにより課題が明確化すると、各スタッフは課題克服するために一生
懸命に取り組まなければいけません。コーチングには、社外から専門家を招き
アドバイスを得ることも重要です。
社長も課題を投げかけるだけでなく、達成するための「目標管理制度」を構築する
必要があります。

4.目標管理制度の導入
目標管理制度を構築する際の留意点は、スタッフが主体的に働き、成長していく
ための環境づくり、ルール作りがポイントとなります。

(1)目標設定・目標管理の流れ
社長が指針となる経営方針を策定します。
その経営方針をスタッフに周知したうえで、個々のスタッフが年間目標を立て
ます。スタッフは方針の示す目標値と現状の差を自覚し、理想像到達への具体的
な方策を立てます。チームで取り組むべき課題はチームとしての方策を立てます。

年間目標が完成したら、それに沿った形で月間目標、週間目標、一日の目標
立てます。

慣れないうちは目標設定の際に社長や、外部専門家がアドバイスを行いますが、
あくまでも目標はスタッフが考え、自主的に設定しなければ意味がありません。
また年間目標を作成する際は、目標、重点項目、具体的なやり方、達成期限
明確にしていきます。


目標設定が終わるとスタッフ(チーム)は目標に対するセルフマネジメント、
計画、実行、評価を行います。

また院長は定期的にスタッフとの成長対話を行い、状況を把握し指導します。
個人の能力アップだけでなく、チームとしてのレベルアップを双方確認しながら
進めなければいけません。

スタッフのやる気を引き出し、効果を上げるには、業務への取り組みを自立させる
「スタッフ中心」の活動が可能な環境整備が必要です。

最後に、スタッフ中心型組織とするためのポイントをまとめてみます。
 ①定期ミーティングの開催
 ②朝礼の開催
 ③常に具体的目標と実績を全員で共有
 ④問題ごとにチームを組む
 ⑤コーチングの実施
 ⑥結果に対して評価し、成果は全員で共有する

中小製造業の経営計画書の作成方法:製造業の経営改革事例

小規模企業、中小企業にとっても、経営計画書(経営方針書)の作成は重要な
ことです。決して大企業だけのものではありません。

経営計画書とは、企業の事業内容や経営状況を振り返り、将来の事業目標の達成
のため、経営資源(従業員、資金、情報、資産)をどう活用するかをとりまとめた
もので、ビジョンと経営理念を実現するための道具です。

 ★中小企業の経営品質を高めるステップ
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「業務改善のPDCAが回らない」「社員のやる気がない」と嘆く前に、社長自ら
が、経営計画書を作成して、社員に示し会社の方向性を明確に示す必要があります。

経営計画書に従って、社員は業務計画を作成し業務改善のPDCAを回す仕組みを作っ
て、運用することで、社員のレベルアップが図られ、教育効果は絶大です。

1.経営計画書作成の目的
ただ日々の仕事に追われ、なりゆきにまかせて事業を営んでいては、厳しい環境下で
成果を生みだしていくことはできません。 企業が成長するには、自社の達成すべき
目標を設定し、その実現のためにどのような対策をとるかを総合的、全社的に考えて
いかなければなりません。

そのような目標を具体化し、計画に落とし込んでいくことが「経営計画」を立てる
本来の目的と言えます。

そのとき、将来の目標と現状を比較してそのギャップを導き出すことで、現在抱えてい
る問題点や課題が明らかになってきます。つまり計画を策定することにより、現状の
問題点を浮き彫りにし、解決策を見出すことが可能になります。

経営計画書を基に、全社員が参加して自部門の計画、個人の計画を策定することにより
経営幹部をはじめとして社員の一人ひとりが自社における自分の役割を十分に認識でき
目標達成に向けて各人が自ら行動するようになり、これが組織の活性化につながろことが
期待できます。

また、達成までのステップを明らかにすることにより、各時点での進捗度合いを把握す
ることができ、それを定期的に評価することによって社員のやる気を喚起し、PDCAも
回るようになります。

2.経営計画策定のステップ
経営計画は3~5年先を見越して作成します。
近年では経営環境の変化が激しく、3年先はどうなるかわからないという面もあります
が、この計画は毎年見直して修正を加え、さらに1年分追加してつねに3~5年先の
計画が立てられている状態にします。
年度計画は中期計画の初年度計画に該当するもので、中期の方向性を見据えた内容で
さらに具体的推進策が盛り込むことになります。

経営計画作成のステップはおおむね以下の通りです。
1:経営理念、経営方針の明確化
2:経営力の分析(経営資源、自社の強み、弱みの分析)
3:環境変化の予測(自社を取り巻く競合、市場動向)
4:中長期目標の設定(3~5年後のあるべき姿を描く)
5:次年度計画の策定(売上目標、人・組織、設備の計画、改善計画)
6:次年度部門計画の立案(部門責任者が中心になり作成)
7:全体計画と部門計画の調整
8:計画書の作成と発表会の準備
9:計画の発表

3.業務計画の進め方
業務計画を立てたら、その内容に沿って、計画を実行に移さなければ意味がありません。
そのためには
 ・全員参加で経営計画を立てること
 ・前年度の反省を生かして計画を立てること
 ・全体計画に基づく実行目標を具体的に掲げること
 ・計画は月別に立て、具体的にイメージしやすいものにすること
 ・利益計画と資金計画が連動していること
 ・計画の遂行に対する責任・権限体制を明確にすること
 ・計画達成の評価が正しく行なえるよう体制を整えること

経営計画は、その年、その年で終わるものではなく、前年度、今年、次年度と継続し
企業の成長を図って行くものです。
秘伝のスープのように、継ぎ足し継ぎ足し受け継がれ、独自の味を作り上げていく
ことで、お客様からの魅力をひきつけることができるのです。


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