2018年11月10日

中国金型の現状と対応策

中国の金型メーカーは、急速にその技術力を高めています。
特にプラスチック用金型については、輸出が各国へ浸透し広東省、浙江省、
江蘇省、上海など金型産地からのの輸出が多くなっています。

但し、広東省や江蘇省の自動車、電機等の相応に品質が要求される金型について
は、日本から中国に輸出される金型も一部存在します。

プレス用金型は、プラスチック金型よりも難易度が高く、やはり日本製金型を
使用するケースが多いと思われます。

以下に、中国金型の抱える課題とその対応策について考えてみます。

1.品質について
もともと、目先の受注に注力し、寿命、耐久性への考慮が不足していることも
あり、日本製に比較して、一般に耐久性は30~50%低いと言われています。
中国企業の特徴として、人材の定着率が低く、一般労働者の多能化はほとんど
進んでいないなど、ノウハウの蓄積が難しいのが現状です。 

また、安価な現地素材を使っており、加工も精度の点で、加工機械を十分使い
こなせていない面も考えられます。

2.納期について
最終納入までの期間は、日本の金型メーカーに比べ、中国の金型メーカーは3割
程度長いと言われています。これは、品質の作り込みが不足し、修正に時間が
掛かるためです。

また、ユーザー先からの度重なる設計変更への対応力や生産管理、スケジュール
管理等の管理力の不足も納期に影響を与えています。

3.価格について
人件費の高騰、人民元の切り上げ等により、コスト面から輸出競争力は低下
傾向にあります。

このように、中国ではCADや加工機械などの整備が進む一方で、ノウハウの
蓄積が不足していると言わざるを得ません。ただこれには、長い期間が必要で
あり、一朝一夕でギャップを埋めることは不可能と考えられます。

4.対応策
精度や寿命、耐久性の面から製品の特性に応じて、日本製金型、中国製金型を
見極めていくことが重要です。そのためには、重要パーツについては、鋼材を
指定するなど材料や金型の方式、構造など金型仕様をより詳細に示し、製作に
入るように心掛けることが必要です。

中国で金型を製作する最大のメリットはやはり「価格」です。
ですからそれを生かし、輸送、メンテナンスなども含めたトータルコストで、
日本製より優位性を追求する必要があります。

品質が悪く、返って費用が掛かってしまったなどということがないように、
仕様段階、製造段階、試作トライ段階などにおいてきめ細かいコミュニケー
ション、現地確認を行っていくことが重要になります。

中国の金型メーカー数は3万社を超え、日本の3倍を超えています。あらゆる
ジャンルの金型を製造できる選択肢の多さ、自動車産業などの金型消費地に
直結しており、輸送や、サービス対応にも有利な点であることから、今後も、
中国金型は積極的に活用が図られていくものと考えられます。

測定誤差について:製造現場の実務・事例解説

測定器を使って品物を測定する場合の測定誤差について事例に基づいて解説します。
事例1:マイクロメータ、事例2:三次元測定機、事例3:測定誤差3μ以内で測定
事例4:焼き入れ高度のバラツキと測定方法

事例1
(質問)私の部署では3Φ、5Φ(U字型)のマイクロメータを使用しています。
同じワークを両者で測定すると誤差が出るのですがこの誤差の要因は測定面の
大きさによるものでしょうか?

(回答)マイクロメータの測定圧はJISにより5~10N、そのバラツキは
3N以下となっています。測定圧を発生させるラチェットは、面積小のアンビル
(先端)で測れば、面積当たりの測定圧力は大きくなります。

しかし、ブロックゲージを測って校正すれば、その影響は無くなるはずです。
平面を測るよりも、円筒面や球面の測定では面積当たりの測定圧が非常に大きく
なり、変形量が大きくなるので、これらはブロックゲージよりもピンゲージで
校正した方が良いでしょう。

また軟らかいワークは測定圧により微小な永久変形が生じるおそれがあり、その
影響も考慮する必要があります。
マイクロメーターの誤差は0.002程度は一般的と考えられます。
測定時の誤差も含めると0.01以上は見込む必要があります。

事例2
(質問)板金シャーシの穴位置を変更後、加工メーカーの測定データーの検証を
しようと思っています。三次元測定器を使用し測定した場合ですが、この場合
1.測定器の違いによる誤差
2.測定者の違いによる誤差
が考えられますが、何パーセントぐらいの誤差ならばOKと判断できるでしょうか?

(回答)
1.測定器の違いによる誤差
測定器のタイプ(構造)と検出器の関係(立て向きとか横向きとか)で誤差が出ます。
標準のプローブより長いものと使って横向きにすると誤差が大きいようです。 
経験的に0.02位は違う場合があると思います。原因はやむを得ず使う長いプローブ
とか構造的(機械精度)な問題だと思います。

2.測定者の違いによる誤差
手動式でも同じ速度でプローブを接触させればミクロン程度以内に収まると思います。
板金という事は薄物でしょうか、自重が影響するような大きい場合は姿勢と保持する
場所もお互い同じにしたほうがいいと思います。

 
事例3
(質問)円筒研削盤の機上で、ロール外径寸法450mmを測定誤差3μ以内
で測る方法があれば教えてください。

(回答)測定誤差には、①測定器の固有誤差、②測定者の個人誤差、③外部条件
の誤差、④偶然誤差等ありますが同じ条件で比較測定すれば誤差を最小にすること
ができると思います。

1mの鉄は1度温度が上がると10μm、450mmでは4.5μm延びます。
温度管理をしっかりとしても±1゜Cの管理は至難の業です。測定誤差3μ以内で
測る方法は目標が高すぎると言わざるを得ません。
基本的には不可能ではないでしょうか。室内温度と研削温度で真の寸法値は出ない
のではないかと思います。

事例4
(質問)高周波焼入れを依頼したところ以下の回答がありました。
依頼者:HS95±3で焼入れをしたい。 部材Φ100×200L
業者A:±3は無理。±10は欲しいががんばれば±5に入る。
業者B:HS95なら狙いに対して0~5の誤差で出来る。
焼き入れの精度は一般的にどの程度ですか? 測定方法(HS、HV等)でも誤差
はありますか?

(回答)焼き入れ硬度のばらつき要因は、①測定誤差、②材質のばらつき
③高周波焼き入れ温度のばらつきです。
JIS規格では、材料の炭素量は±7%のばらつきを許容しています。材質の
ばらつきによってHS95の±5%以上ばらつきが出ます。
肉厚の薄い部分や 角の部分などは早く冷えるためか硬く入ります。
測定誤差は、HVの場合、試験片を鏡面に研磨しておこなうので削り込む深さや、
平面の出し方など、作業者の熟練度によって誤差が出やすいです。

HSについては跳ね返り高さより硬度を求める測定方法のため、試験片の表面の
よごれや平面度に左右されるとおもいます。
 ■ 硬さ試験機:ブリネル硬さ/ビッカース硬さ/ショア硬さ

測定の基礎と測定器の管理:製造現場の実務・事例解説

測定の基礎と測定器の管理についてポイントを解説します。



1.測定の重要性
製造業において、製品の開発・設計から量産に至るまでの各々のステップ
で、“測定”は欠かせない作業であり、“測定”によって得られたデータを
基に、工程や、作業方法の評価や判定を行い、次の行動に移ります。

特に現在ではグローバル化が進む中で海外との関係も深くなり、品質問題
を出した時のロスコストは企業存続に関わる重要な問題となます。

そこで、正しい測定によって“不良品を作らない、および流さない”事が大
事になってきます。

そこで、正しい測定データを得る為には
 ①正しい計測機器を使って測る
 ②正しい測り方で測る
 ③適正な環境の下で測る
ことが大切であり、たかがノギスでの測定と思わずに、慎重な測定作業を
心掛ける必要があります。

2.測定値の信頼性
測定値の信頼性は、測定器の信頼性と、測定者の知識や習熟度などの測定
に関する様々な要因によって得られるものです。測定の信頼性は「誤差」
「精度」「繰り返し性」などによって表されます。

「計量トレーサビリティ」とは、測定器による測定結果が、校正の途切れ
ない連鎖で国家標準や国際標準に関係づけられていることを表す性質です。
例えば、「測定結果は、計量トレーサビリティ(traceability)が確保
されている」という使われ方で、測定結果の信頼性を表しています。

計量トレーサビリティ制度」は、国家標準(特定標準器)を定め、産業界
などの測定器が計量トレーサビリティを確保できる仕組みであり、計量法
に定められています。

すなわち、測定器は、校正事業者が保有する標準器(実用標準器)によっ
て校正され、その標準器は、より正確な(不確かさがより小さい)標準器
(特定二次標準器)によって校正され、さらに、特定二次標準器は国家標
準の特定標準器によって校正される仕組みとなっています。

3.測定器の選択と管理
3.1 測定器の選択
(1) 測定器の種類による選択
測定器は、値段が高い物ほど機能や性能が優れていますが、反面、取扱い
方が難しく校正や修理など保守管理にお金がかかるので必ずしも高価なも
のばかりが良いとは言えません。

大事な事は測定器が使用する目的に対して適切な物であって、かつ精度に
よって適切なものを使うことにあります。また、その測定器の正しい測定
方法を知っていなければ、その価値を発揮できずに本来持っている能力を
引き出せないで終わってしまいます。

したがって、測定器の購入担当者には、製品・部品の検査・校正で必要と
なる精度を把握し、要求を満たせるような選択がせまられます。
つまり、適切な測定を行うためには、適切な能力の測定器を選択すること
が必要です。

ノギスとマイクロメータの適切な使用方法の例として
ある製品のシャフトの径を測定し、その許容差が5.00±0.01mm であった
とします。それを検査員は、デジタルノギスで測定し、4.99 mm で検査
成績書を作成し、顧客に提出しました。

後日顧客から次のような指摘がありました。「デジタルノギスはせいぜい
±0.02 mm の精度であるので、ここはマイクロメータ使用して測定すべき
ではないか?」。検査員はデジタルノギスでも0.01 mm の数値が出るので
そのまま測定してしまいましたが、ここはノギスの10 倍以上精度が取れる
マイクロメータで測定する方が適当です。

(2) 測定方法による測定器の選択
例えば、長さの測定で、あるシリンダの内径を測定する測定器にはエアー
マイクロメータ、ホールテスタ、シリンダゲージなどがあります。レーザ
外径測定器の代わりにデジタルリニアゲージなどを使用して検査を行うこ
ともできます。

しかし、それらの測定を行うには日頃から訓練が必要です。
例えば、測定器取扱講習会などを行って確認します。ある円柱のワークを
用意し、それを金属製金尺、ノギス,マイクロメータ、ダイヤルゲージ、
工具顕微鏡、外径測定器、輪郭形状測定器などの様々な長さ測定器を実際
に使用し、正しく測定ができるかどうか確認します。

各測定器の正しい測定方法と、様々な方法があることを体験し、訓練する
ことが大切です。

3.2 測定作業の整理・整頓
測定器に5S 管理を導入することで生産能力効果が高くなります。
測定器の5S とは、(1)整理、(2)整頓、(3)清掃、(4)清潔、(5)しつけ
のことをいい、生産現場の5Sと同じ考え方で管理します。

(1) 整理
 良品・不良品、校正済み品、不要品及び故障品の識別管理を行う。
(2) 整頓
 取り出しやすく、また置きやすくする配置を心がけます。
(3) 清掃
 測定器に付着している異物やさびなどを丁寧に掃除します。
(4) 清潔
 整理、整頓、清掃された状態を維持します。
(5) しつけ
 大切に使う習慣を付けます。

3.3 測定器の校正
使用する測定器すべてを管理対象とする必要はなく、管理の対象となるか
否かの決定(線引き)が重要です。すなわち、管理はするが校正は行わな
いものの位置づけも必要であり、識別を強化することで問題はないと考え
られます。

例えば、電気テスターなどは、検査で導通チェックや100V 電源を測定す
ることが多いので点検のみでも充分です。

(1) 校正の頻度
校正対象とした測定器は定期的に校正を行わなければなりません。校正の
周期は、その測定器が規格などで周期が決まっていない限り、組織で自由
に決めて良いでしょう。精度があまり変わらない物に関しては校正周期を
常識的な範囲で長くしても構いません。

(2) 校正の方法
測定器の校正には、コストがかかりますので法的な規制のある場合や、標
準器の高額ものや校正技術の高度なもの及び、重要保安部品など顧客の
信頼に影響を与える測定器は外部に校正依頼して、それ以外は校正要員
を養成し、必要な校正設備を購入して社内校正をおこなうとよいでしょう。

(3) 校正外れへの対応
校正を行って不合格になった場合、その機器で実施した製品検査などの結
果の妥当性を再評価し、記録する必要があります。前回の校正までさかの
ぼって検査結果を見直すことは現実的でないので、リスクが非常に小さい
と予測できる場合などは、それまでその不合格の測定器を使用したことに
よる“不具合などの発生”で確認しても良いでしょう。

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