2019年01月04日

★キーワード解説:モグラ叩き体質から脱出

【INDEX】

【キーワード解説】
 モグラ叩き体質から脱出の本当の意味は、なんでしょうか?
たとえ再発防止策を講じても、他の問題は次から次と無限に発生します。

モグラ叩き体質から脱出するには
「問題発生 ⇒ 対策」ではなく、「潜在している問題 ⇒ 掘り起こして対策」
という品質管理活動に考え方と行動を変えなければならないのです。

「本質対策」と「モグラたたき対策」の違いを正しく説明できますか?

工場で不具合が発生したとき、「本質対策」を行わずに、 起こった表面上の現象
に対して対策を立てることを「モグラたたき」の対策と言います。そして、誰もが
モグラたたきでは駄目ということは分かっています。

しかし、いざ「本質対策」と「モグラたたき」対策の内容の違いは?と問われると
はっきり答えられないのではないでしょうか。



本質を見極めよ!とよく言われますが、本質とは一体何でしょうか?
分かり易くするために、本質を原理・原則に置き換えて考えて見ます。

 本質=原理+原則

■原理とは
製造業の世界では、材料を価値ある形や性質に変え、魅力ある製品を作り上げること
を目的として活動を行っています。
そこで、価値ある形や性質に変えるためには、自然科学の法則に従って材料を加工
したり、部品を組み立てたりして製品を作り上げます。もし自然科学の法則に従わ
なかったなら製品作り上げることはできません。

例えば、ネジ締め力が弱かったら、振動に耐えられずにネジは外れてしまいます。
つまり、ねじの締結力と振動の力との関係でどちらが大きいかによって、物理現象
が異なります。このことは、測定や実験、観察などによって理論付けられ、説明
することができます。

自然界で起こる現象は、ほとんどすべて、自然科学の原理(メカニズム)によって
その原因と結果、つまり因果関係が説明できます。

■原則とは
次に、魅力ある製品を作り続けていくための企業活動に注目します。
多くの人や設備などが関わってものづくりを行うには、一定のルールのもとに活動
を行わなければなりません。

江戸時代以前から行われていた、簡単な道具を使って、主に手先で物品を製造する
いわゆる「手工業」では、農機具など職人の「熟練の技」に委ねられていました。
手工業の時代にも職人の頭の中には一定のルール(原則)に従ってものづくりが
行われていましたが、原理を身をもって体験し、ものづくりの原則を作り上げて来た
のだと考えらえます。

しかし、大量生産が行われる近代的な工場となった現在、同じものを大量に、しかも
安い価格で提供する必要が生じたため、多くの人、設備を効率よく管理するための
原則(ルール)が生まれました。それが生産管理であり、品質管理となって体系化
されたのです。

そうすると、納期が守られなかったり、品質にばらつきが出る原因は、この原則が
守られなかったためと考えることができます。

■本質を見極めるとは、原理・原則を見極めること
品質問題を考える場合、原理と原則を分けて考えると混乱が無くなります。
 ①自然科学の原理に基づいた原因と結果
  例)締付力が弱い(原因)⇒ 振動でねじが緩む(結果)

 ②管理の原則に基づいた原因と結果
  例)ネジ締め作業者はルールを守らなかった(原因)⇒ 締結力が弱い(結果)

ものづくりの本質は、自然科学の原理に逆らわないこと、そして一定の原則(ルール)
に従った手順通りに運用することに外なりません。

不具合は、原則(ルール)に従わずにものづくりを行った結果、自然科学の原理
(メカニズム)によって発生している現象と考えられます

■本質対策とは
本質対策とは、この原理と原則の事実を良く調べ、両方に対策を施すことを言います。
原理だけ、原則だけの対策では不十分となってしまい、同じ問題が再発することに
なります。
 ①原理の対策
  例)締付力が弱い(原因)⇒ 締付が弱くなった原因の対策
                ・既定の締付トルクが得られるドライバの選定
                ・作業者がルールを守るようにネジ締め作業訓練
                ・ねじ締作業方法(固定冶具など)の改善
 ②原則の対策
  例)作業者がルールを守らなかった、守れなかった(原因) ⇒ ルールを守る対策
                ・ドライバ、固定冶具など生産前事前準備確認ルール
                ・ネジ締め作業の訓練計画、実施と作業認定ルール
                ・正しい作業を実施しているか、職場巡回確認ルール

①の対策は、自然科学の原理に沿った物理的、ソフト的な対策です。
②の対策は、管理の原則に沿ったルールの対策です。

①②の対策のどちらが欠けても、再発防止はできません。
よくある間違いは、①を本質対策と勘違いしているケースです。

原理と原則の原因を解明し、原理と原則の両方を対策することではじめて再発防止が
図れることになります。

モグラたたき品質管理からの脱出法(品質問題を引き起こす3つの原因)?製造業のクレーム対策事例

まず、品質トラブル、製品の不具合の中身を詳細に検討して見ます。
原因と言っても3つの分類方法があります。

 ★ヒューマンエラーなど不良再発防止を事例で習得するセミナー
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客先から、「ネジがきつくて相手部品が組み付かない」というクレームが発生
したとします。
ここで、最初に明らかにすべきことは、「因果関係の究明」です。

1.因果関係(原理)の究明
ネジがきつくなったという結果は何が原因となっているのか?
例えば、ねじ穴をあけるドリルが摩耗していたために、穴径が小さくなった
とします。

因果関係の究明は、科学的に事実を詳細に調べその固有の不具合を生じさせた
原因を探り当てます。これには、実際に加工された製品をよく観察し、事実を
一つ一つ確認し、論理的にメカニズムを解明します。

2.管理の状況(原則)はどうなっているか?
因果関係が分かれば、次は「管理の原因」を探ります。
近代工場では、このようなトラブルが発生しない様、QC工程図や作業手順書で
あらかじめ管理項目を決めているはずですから、それに照らして管理のどこに
問題があったのかを突き止めます。
 ①ねじ穴を規格通りに加工する作業手順書通りに作業を行ったか?
 ②ドリルの交換周期のルールを守っていたか?
 ③ねじ穴が規格通りの寸法で加工されているかある間隔で確認したか?

5M(人、機械、方法、材料、測定検査)の管理要因をくまなく調べ、不備が
ないかどうか調べます。具体的には、実際に作業に用いる作業手順書に不備は
ないか?作業者はその手順通り作業を行ったのかどうかを現場調査、作業指示書
の確認、作業者へのヒヤリングを行ってどこに管理の不備があったのかを特定
します。
例えば、ドリルの刃を定期的に交換すべきところ作業者はそれを知らずに交換を
怠った、というように、作業内容を理解せずに作業を行ったための人的ミスが
原因だったとします。

3.管理の原因の対策
管理の不備として主な項目を上げると
 ①作業者が手順通り作業を行っていなかった
 ②作業手順があいまいで、手順書だけで作業の実施が困難
 ③作業指示通り、作業を行ったが不具合が発生した

などが上げられます。
上記の例では①の作業者の教育不足という管理の原因であるため、作業者を
再教育するなどの対策を実施します。

しかし、上記はすでに発生した不具合の原因究明と対策であり、モグラ叩きに
すぎません。
一度クレームが発生すると、ほかに管理上の不備・欠陥、作業ミスなどにより
様々な不具合が発生する可能性があるのではないかと、お客様からは疑いの目
で見られます。

不具合が発生したら対策する「後追いの改善」の結果をいくらお客様に報告
しても、今の厳しい市場環境下、お客様は納得できません。ほかに可能性の
ある不具合をすべて検証し、今後不具合が絶対に起きないように対策して
ほしいと思っているはずです。

では、市場やお客様の納得する対策を行うには、具体的にどうすればいいで
しょうか?

4.予防の品質管理の不備を対策する
それには品質管理の考え方を、問題が起きないようにあらかじめ予防処置を
講ずる「未然予防」の品質管理の考え方に変えていかなければなりません。
そのような体制がとられない限り、永久にモグラたたき対策を行っていくこと
になるでしょう。

未然予防の品質管理とは
 ①不具合発生を予測し「予防対策」を組み入れた「工程設計」のしくみ
 ②工程の異常をいち早く発見し不良を未然に防止する「4M変化点管理」のしくみ
 ③不良を一切流出させない出荷停止機能を持たせた「検査」のしくみ
 ④作業者や機械によって不良を後工程に送らない次工程完結のしくみ

などがあげられます。

以上、原理+原則+予防の3つの原因と対策を講ずることによって、今までの後追い
品質管理から決別し、モグラたたきの悪循環を断ち切り、会社の存続のみならず競争力
強化につながっていくものと思います。

不良原因究明と再発防止の意味とは?(ルール不備の指摘と見直し・徹底)

不良原因究明と再発防止の意味とは何かについて考えてみます。
工場で発生する問題は、ルールに基づいて原因を究明し
ルールに不備があったらそこを指摘し、見直しを行い、徹底させること。
これが本当の意味の再発防止対策のことなのです。



以下のフローは、ルールを基準にして原因を究明し、再発防止策を講ずるための
手順を示しています。
製造工程で発生する問題、間接業務で発生する問題は必ず、その作業や業務に関係する
ルールがあるはずです。具体的には業務フロー、業務手順書、チェックシート、作業手順書
などが該当します。
ルールの原因.jpg
しかし、まれにルールがなかったり、表現があいまいだったりします。
また、ルール通りに作業しても、問題が発生することもあり得ます。

ところが、問題が発生っするのは、一番多い例として、ルールを知らない、理解していない
もっと悪い例は、ルールを守る意識が薄い場合もあります。
問題が多く発生する現場は、どんなルールがあるのかわからない、知らされていないなど
品質管理の基本中の基本ができていない工場も少なからず存在します。

まず問題が発生したら、少なくとも現場の管理監督層は、どこにどんなルールがあって
それが守られているのか?守られていないのかをチェックしてみる必要があります。

モグラ叩き体質からの脱出とは?守りから攻めの品質管理へ

モグラ叩き体質とは一体どのような体質を指すでしょうか?
また、守りの品質管理と攻めの品質管理は何が違うでしょうか?

今、信頼されるべきモノづくり企業の様々な不祥事が続いています。
それは一体どこに原因があるのでしょうか?



従来の品質管理の考え方は、「カイゼン」の考え方が主体でした。
つまり、製造工程の問題が無くなるまで、一つ一つ改善を進めてより品質の高い
製品を提供できるように全員で取り組むことを目的として様々な品質管理の手法
が用いられてきました。
 ・統計的品質管理
 ・QC七つ道具
 ・抜取検査法
 ・QCサークル活動
 ・TQC(全社的品質管理)

1.従来の品質管理の問題点
しかし、これらの取り組みは、問題が表面化した後の「是正活動」であり、「再発
防止」するために「しくみ」を見直す、「ポカヨケ」を設ける、「教育訓練」を
実施するなどが主な対策内容となっていました。

また、製品の検査や、試作品の評価テストは、実際に製品が出来上がった後の
良否の判定を行うために、検査項目に無かったり、評価テストで問題が発生しな
ければ、良品と判定されてしまい、市場に不良品が流出することは避けられません。

このような品質管理のやり方は、問題が表面化したら対策するという「後追いの
品質管理」「モグラ叩きの品質管理」と呼ばれます。
逆に、問題が表面化しなければ何も手を付けず、後手後手に回る「守りの品質管理
となっているのです。

最近特にクローズアップされている、製品の検査データ改ざんの問題はなぜ起きる
のでしょうか?
製品は、決められた工程で、決められた方法・手順で製造されます。しかし、当初
想定していたより部品のバラツキ、加工のばらつきが大きく検査不合格品が大量に
発生したとします。

そうすると、それを分解し再組立・再調整を行う必要が生じ、通常より時間が掛か
ってしまい、現場では著しく効率が下がってしまいます。これはもう、検査を強化
する、不合格品を現場で修理するなどという方法では対応しきれないことになって
しまいます。
つまり、問題が顕在化した後の「モグラたたき」「是正処置」には限界があること
を示しています。

守りと攻め.jpg
2.攻めの品質管理とは
では、「モグラたたき」「守りの品質管理」から脱出するためにはどうすればいい
でしょうか?

それはに、従来からの品質管理の問題解決手順を180度転換する必要があります。
つまり、従来の
 ①問題発生
 ②現状調査・メカニズムの解明
 ③4Mの要因調査
 ⑤原因の絞り込み
 ⑥対策
 ⑦仕組みへのフィードバック

という従来の問題解決方法を改め、以下の方策を工程設計時に講じておきます。
 ①4Mの管理項目を決める
 ②もし、4Mの管理項目が守れなかった場合の不具合を想定する
 ③その不具合が、市場にどのような影響を与えるかを評価する
 ④その影響度に応じてリカバリー対策を工程に盛り込んでおく
 ⑤工程で異常(不良ではない)の発生を事前に検知する対策を盛り込んでおく
 ⑥異常が発生したら速やかに手を打つ手順を決めておく

例えば、部品のばらつき発生を想定します。
実際にばらつきが発生するかどうかは考えずに、もしこの部品のばらつきが
発生したら、製品にどのような影響が出るだろうか?それは市場でどのような
問題が発生するだろうか?事故につながらないだろうか?と考えるのです。

各部品ごとに、ばらつきによる影響(発生頻度、事故につながるかどうか)を
評価し、その影響の大きさによって対応策を決めます。
バラツキによる影響が大きい部品は、一ランク上の精度の部品を選定する、
あるいは、選別して製品には使用しないなどの対策をあらかじめ講じます。

このような一連の作業は、問題発生を未然に防止する活動であり「攻めの
品質管理」と定義できます。

これは、ものづくりを始める前の上流工程で実施すべき内容であり、製品
そのものを評価したり、検査する従来の品質管理とは全く考え方が異なります。

攻めの品質管理」の意味がご理解いただけたでしょうか?

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